知の世界を探求⑤日藝ならではの産官学連携プロジェクト

芸術と社会をつなぎ新たな価値創造
本学の研究フィールドを紹介する「知の世界を探索」。5回目は芸術学部の「日藝ならではの産官学連携プロジェクト」を紹介する。
8学科の専門性を集結
芸術学部は2020年に「日藝ならではの産官学連携プロジェクト」を始動した。既存のカリキュラムにない自主創造教育の実践の場として学科を横断して社会課題解決に挑むことを目的としている。
同プロジェクトの特徴は8学科(写真・映画・美術・音楽・文芸・演劇・放送・デザイン)の専門性を生かせることにある。産官学連携は技術開発や研究など、さまざまな形があるが、同プロジェクトでは各学科の強みを生かしながら、芸術ならではの発想や表現を通して課題の解決を目指す。
以前から学科ごとに産官学連携事業に取り組んでいたが、学部全体で産官学連携を推進するため、2020年に「連携プロジェクト室」を設立した。
広がる連携とその役割
これまでのプロジェクトの達成件数はおよそ50件。芸術学部と理工学部が協同し、宇宙開発を実践する「N.U Cosmic Campus」では、小型衛星「てんこう2」のプロジェクトの一環として、あらゆる企画に取り組んでいる。例えば理工学部の研究を一般の人にも理解しやすいように、てんこう2のミッションをボードゲームにする企画。また、てんこう2に搭乗するバーチャル宇宙飛行士「キャプテンひかる」のデザインからアニメーション、キャラクターボイスの制作までを芸術学部の学生が手掛けた。
その他にも同学部と西武不動産、埼玉県秩父市が連携し、同市の観光資源を活用した「秩父文学祭」の実施、生活クラブとの連携による農家への取材、動画・冊子制作など、事業の種類は多岐にわたる。
具体的な事業は企業や自治体などからの相談・依頼をきっかけに、双方で協議を重ねながら進められている。同プロジェクト室は相談内容を整理し、各学科の専門性を踏まえ、適した教員や関係者との調整を行うなど、学内外をつなぐ役割を果たしている。
富里市の魅力を届ける
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「富里スイカロードレース大会」のPRを務めたメンバー(上)(提供=連携プロジェクト室)と授業で意見交換をする学生たち
同学部は19年2月に危機管理学部とスポーツ科学部とともに千葉県富里市と包括連携に関する協定を締結。この協定は相互に協力し、地域の課題解決や活性化などに寄与することを目的としている。
同市の魅力を発信するため同学部デザイン学科の布目幹人准教授(コミュニケーションデザイン)らが携わる産官学連携プロジェクトでは同市のプロモーション企画を取り扱っている。
実際に8学科の総合力を生かし、同市のPRポスター作成やアニメーション制作などの企画を生み出した。参加している学生(音楽学科3)は「自分の出したアイデアを尊重してくれて、やりたいことを実現できるのがよいところ」と語る。他学科と意見交換することにより、専門で学んでいることに相乗効果を生み出せるのが最大のメリットだ。
産官学連携は授業にも
このプロジェクトは、同学部8学科の2年生から4年生が受講できる共通専門教育科目の授業にも取り入れられている。それが「連携型プロジェクト」だ。
授業内では事業者から依頼されたプロモーションの企画を立てて社会への実装を目指し、契約書の締結までを同プロジェクト室が担当。半期から1年間を通して行われる授業は一般的な講義形式とは異なり、教員と学生が自由に意見を交わす形で進められる場合が多い。
芸術と社会をつなげる
同学部職員でプロジェクト室のコーディネーターを務める田中しおりさんは「連携プロジェクトに関わっていく中で身に付けたお互いの知識やノウハウを共有しながら、社会に出たときのモノづくりに生かしてほしい」と思いを語る。今後も芸術と社会をつなげる取り組みを通じて、8学科の多様な力を掛け合わせ、「日藝だからこそ生み出せる価値」を社会へと広げていく。
(取材=前島ひなた)







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