知の世界を探求④ロハス工学センター
健康で持続可能な生活と社会実現を

本学の研究フィールドを取材する「知の世界を探索」。4回目は工学部のロハス工学センターを紹介する。
「ロハス工学」の拠点に
1990年代に米国を中心に広まった「LOHAS(Lifestyles of Health and Sustainability:健康で持続可能な生活スタイル)」の考え。工学部は99年から工学によって実現することを目指し、「ロハスの工学」を教育・研究の基本方針に掲げてきた。21世紀の社会や環境の在り方を考えていく上での視座とするためだ。
2019年に約20年間におけるロハスの工学の成果を書籍としてまとめた『ロハス工学』(日経BP社刊)を発刊。翌20年に同学部は長年の夢であった新組織「ロハス工学センター」を設立し、現在ではロハス工学に関わる教育・研究・地域貢献などの一大拠点としての役割を担っている。
ロハスの家を機に発展
08年に、ロハス工学の象徴となる施設を構築するため、人々の生活基盤となる「家」を研究対象とした「ロハスの家研究プロジェクト」が本格的に始動。翌年にはロハスの家1号を建設し、10年には2号を設置。そして、11年11月に東日本大震災の影響も残る中、集大成としての3号が完成した。
同プロジェクトを皮切りに、同学部内の研究者がロハス工学に精力的に取り組むようになり、「ロハスの花壇」や「ロハスのトイレ」、「ロハスの橋」など次々と新たなプロジェクトを展開。ロハス工学がキャンパス内で急速に進化していった。
風土を生かした酒造り


ロハスの森「ホール」の外観(上)と屋内を活用する学生ら(提供=工学部)
今年度は新規・継続プロジェクトを含め10件が採択された。土木工学科の中野和典教授(環境生態工学)を中心とする「ロハ酒研究プロジェクト」は、農薬を使用しないアイガモ農法による稲作とその米を醸造した日本酒造りに着目。ロハス工学の視点から福島の風土を生かした酒造りを提案することで、農学支援の実現や地域貢献につなげるのが狙いだ。
新たな拠点へ跡地再生
「ロハスの家群跡地再生プロジェクト」では、19年10月の台風19号で被災し撤去されたロハスの家群跡地にロハス工学の新たな拠点となる施設建築を計画。24年に完成したロハスの森「ホール」は屋上緑化や福島県産の木材を積極的に使用した環境建築で、環境面・視覚面においてさまざまな工夫が加えられた。将来的には学生・教職員・地域住民のロハスを実現する「憩いの場」となることを目指している。
学生が活躍できる場を
ロハス工学の取り組みには学生が活躍できる場も多い。「ロハスの池プロジェクト」の一環で実施している、工学部に隣接する古川池の清掃活動に学生も参加。また、オープンキャンパス実行委員会が取り組む「ロハスの畑プロジェクト」では、肥料に竹パウダーを活用したサツマイモの自然栽培で工学と農業の融合に挑戦している。学生が興味・関心を示し自ら手を挙げた時に「主役」となって活動に参加できる環境が整備されているのだ。
他分野との融合実現へ
ロハス工学センター長を務める土木工学科の岩城一郎教授(コンクリート工学)は「これからは学部内の活動にとどまらず、他学部との連携を推進していきたい」と語る。本学のスケールメリットを生かし、農林業や福祉、医療など他分野と融合することで「ロハス工学」から「ロハス学」へ、新たな学問体系への発展を目指している。混迷の時代を生きる今だからこそ、健康と持続可能性の意味を深く考え、それを実践していく「ロハス工学センター」への期待は高まるばかりだ。
(取材=外﨑 功)







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