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林真理子理事長 退任直前特別インタビュー 4年間「やり切った」

 初の女性理事長として、本学に新たな変化をもたらした林真理子理事長が1期4年の任期を終え、6月をもって退任する。2022年7月、相次ぐ不祥事に見舞われた本学のイメージ刷新と組織再建のため、理事長職に就任。これまで捨て身の覚悟で改善・改革に取り組んできた。本紙では退任直前の林理事長にインタビューし、4年間の激務を振り返りながら、今後の本学の在り方、学生へのメッセージについて語ってもらった。(聞き手=外﨑功、写真=藤井菜穂)

「知性の基礎」築いてほしい

 ―今のお気持ちは。

 「よくやり切ったな」という気持ちでいっぱいです。4年間全力で頑張ったので、爽やかな気持ちで退任することができます。

 初めは遠慮している部分もすごくありました。大貫進一郎学長になって二人で協力体制を整えられたのは良かったと思います。大貫学長には感謝しかありません。また業務執行理事の皆さんは、それぞれすごい働きをしてくださったと心から感謝しています。

 就任した時には周りの方から「週に何回大学へ行っているの」と何度も聞かれました。ただ、引き受けたからには毎日朝から行かなきゃと思っていましたし、病気で休んだこともありません。忙しい時期は土日も予定が埋まり、全国を飛び回りました。


 ―本学再建のために実施してきた、これまでの改善・改革の進捗はいかがですか。

 本学の改善・改革をずっと見ていてくださった監事の方々からも「4年間よく走り抜いて頑張りました。敬意を表します」とおっしゃっていただけたのはとてもうれしかったです。

 ただ、本学全体ではまだまだ問題を抱えていると思います。意識改革の必要性は浸透し出したと実感していますが、一つ一つの事象を見るとやらなければいけないことがたくさんあります。これからさらに体制を整えていかなければならないと思います。教職員の方々は引き続いてよろしくお願いします。


 ―「学生ファースト」を掲げていらっしゃいました。学生との対話の中で印象に残っていることはありますか

 ゲストを理事長室にお迎えするYouTubeプログラム「ようこそ!理事長室へ」に来てくれた学生さんからお手紙をもらいました。「毎日が楽しい。日大に感謝します」と伝えてくれて、この期待に背いてはいけないと切に感じました。

 アンケートなどをやると、不祥事やネガティブなイメージが書かれていることも。「日大が大好きです」と言ってくれる学生をもっと増やしたいと思い、より一層学生のためにという気持ちが増しました。


 ―在任4年間で大変だったことや楽しかった出来事を教えてください。

 不祥事(2023年)が起きた時は自宅の前にも報道陣がたくさんいて大変でした。初めの2年間は何をしたらいいのか分からない日々。今振り返ると、空回りして機能していなかったと思います。私たちにとっては辛い出来事でしたが、そこからまた頑張ろうと雰囲気が変わったという点では良かったでしょう。

 大貫学長とは本当に良いコンビでした。二人で各学部のオープンキャンパスや付属高校へ出向き、オリジナルの名刺を高校生と保護者一人一人に計1万6000枚を配りました。大貫学長はまだ若いから大丈夫ですけど、私は結構疲れました。中には食堂のスタッフと間違えられて食券を渡されることもあって、とても楽しかったです。


 ―社会全体からの本学に対するイメージや信頼の回復という面ではどのように考えていますか。

 どこへ行っても「日大は変わったね」と言ってもらえることが増えました。
 ネット上などでは就職にマイナスな意見もあるかもしれません。ただ実際には就職も非常に良いですから、胸を張って「日大」と言ってほしいです。また、全国どこへ行っても必ず卒業生はいます。卒業してから本学のすごさを実感できると思います。


 ―退任後はどのように過ごされますか。

 在任中は連載しているコラムしか書けませんでした。コラムであれば帰宅してから1時間ほどで書けますけど、小説は時間がかかります。会食へ行くと夜遅くに帰ることも多いので、疲れてしまってほとんど書けません。これからは作家としての林真理子も「やっぱりすごいじゃん」と思ってもらえるように頑張ります。

将来構想をぜひ具現化へ

 ―これからの本学にどのようなことを期待しますか。

 これから先、少子化が誰も想像したことのない未知の領域に入っていくことでしょう。その時に本学がどうなるのかという不安はあります。理事長の諮問機関である将来構想経営企画プロジェクトで進めてきた検討を具現化していく。これをぜひやっていただきたいと思います。

 新体制になりますが、大貫学長は既に2年務めていていろいろな構想を持っていますから、新理事長と手を携えて頑張ってほしいです。

「無知の知」学び自ら発見を

 ―学生へメッセージを。

 〝知性の基礎〟というのは学生時代につくらなければいけないと思います。知的な人たちに交わると自分がいかに無知であるか、恥ずかしくなるでしょう。ただ「無知の知」という言葉があるように、無知であると分かっただけでも良いことなのです。新しい発見から自分なりに頑張ろうと思える、つまりは知性を受け入れる基礎を学生時代に築いてほしいのです。

 世界は面白いもの、美しいものに満ちているのだから、ぜひそれに触れてほしいと思います。スマートフォンと(自分の周囲にいる)100㍍の友人だけではもったいない。広い世界を知っていただきたいです。

 林 真理子(はやし まりこ)
 1954年生まれ。76年芸術学部文芸学科卒業。82年エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』を出版。86年『最終便に間に合えば』『京都まで』で第94回直木賞受賞。2018年紫綬褒章受章。20年菊池寛賞受賞。22年7月本学理事長就任。

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