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知の世界を探索②RINGS

 本学の研究フィールドを取材する「知の世界を探索」。2回目は文理学部の次世代社会研究センター、通称RINGS(Research Institute for Next Generation Society)を紹介する。(取材=三浦めい)

コミュニティーで一番輝ける未来を

単一の価値観にしない

 文理学部は2020年12月、多くの難題を抱える現代社会において、産官学が一体となって取り組む「次世代コミュニティー」を創出し社会課題を解決することを目的として、RINGSを設立した。

 入試をはじめとする単一の価値軸を基準に「偏差値50=普通の人」と一律に評価してしまう現代。その人が一番輝く価値軸で高く評価される場所をつくりたい。発起人であり同センター長の大澤正彦准教授(人工知能)の熱意に当時の紅野謙介文理学部長が共感し、学内や本部との調整を経て異例の速さで立ち上がった。

 コミュニティーベースで社会課題を解決することを目的に「名目だけの産官学連携・異分野融合」からの脱却を打ち出している。

フォロワーシップ重視

 RINGSの最大の特徴は、特定の枠組みを先に決めるのではなく、人のつながりから自然発生的にプロジェクトが生まれるフォロワーシップを重視した運営形態にある。誰かの「やってみたい」という声に対し、各自の得意なことで協力したり、「いいね」と応援したりすることを大切にしている。このような文化により、新しいアイデアが生まれやすい、安心感のある環境を構築している。

立場を超えた密な対話

 オンラインチャットツール「Slack」には、現在約300人が参加。学生に加え、高大連携の高校生や約50人の学外プロボノ(専門家)が個人として加わっている。そのほかパートナー団体として愛知県の豊田市役所、ロート製薬や日立製作所などの自治体や企業が連携。組織のトップから現場の方まで、立場を超えて幅広く密なコミュニケーションが行われている。

学生の関心が活動起点

 RINGSが学生を交える最大の意義は「お互いに教え合い、認め合い、支え合える人材の育成」だ。それにより、全員が自分自身の価値軸で高く評価されるような環境をつくれる。また学生の多種多様なバックグラウンドが、予期せぬプロジェクトの発展を生んでいる。

 最初に発足した「カーボンニュートラル」のプロジェクトは同学部ドイツ文学科の学生の興味から始動。電力系の業界団体、豊田市、経済産業省、YouTuber、高校生へと次々に輪が広がり、最終的にはカーボンニュートラルを題材にしたゲーム実況動画や原子力発電所への視察にまで発展している。

 同学部社会福祉学科に在籍する視覚障がいがある学生の「初めての場所に行く際に音声ガイダンスを使用すると、耳がふさがってしまい散歩を楽しめない」という悩みからスタートした「アイ棒プロジェクト」は同学部の複数学科の学生と連携し、白杖に付ける振動デバイスを作成。2022年に振動のみでのナビゲーションを実現させた。

約100件が同時進行

 現在は「朝から子どもたちと一番の笑顔を」をコンセプトに貧困による体験格差や孤立の解消を目指す「朝顔プロジェクト」や、3Dプリンターを用いて小説の世界を表現する「小説とジオラマ」など、多数のユニークなプロジェクトが同時進行している。その全体数は50~100件に及ぶ。

 プロジェクト参加後も強制はせず「いつでも戻ってこられる」緩い関係性が維持されている。一般的なゼミナールや組織とは異なり、プロジェクトを「ずっとやり続けなければならない」というプレッシャーをかけない方針だ。何かに挑戦したいときだけ現れたり、人のやりたいことに少しだけ協力してみたりといった「ちょっとした挑戦」がしやすい場所となっている。

他学部生の参加に課題

 学生運営メンバーの曺珠愛(ちょうちゅえ)さん(情報科4)は「大多数を占める『やりたいことが明確ではない人』をどう巻き込み、面白いものを作っていくか」を今後の課題に据えている。

 また、現在RINGSは同学部の組織であるため、他学部の学生を正式に受け入れることができないという制約もある。高大連携で関わった高校生が他学部へ進学すると活動を継続できない問題も起き得るため、学内のルールや調整が必要だ。既存の組織やルールの壁はあるが、この小さな「輪」が大学や社会全体へと広がり、誰もが「一番輝ける未来」を望める社会づくりに期待したい。

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