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先生教えて! ネット選挙 西田亮介教授

情報を精査し、自分で判断する

昨年7月の東京都知事選挙では一部候補者の動画配信が激増するなど、SNSを活用した選挙運動が注目を呼んだ。インターネットの活用は今後も広がっていくだろうが、情報の受・発信双方に留意も必要。インターネットと選挙運動の関係について危機管理学部の西田亮介教授(社会学)に話を聞いた。

Q ネット選挙とは。

A インターネットを活用して投票を呼び掛ける選挙運動のことです。2013年に公職選挙法が改正され、インターネットでの選挙運動が広範囲に認められました。11年の東日本大震災以降、公的機関がSNSでの情報発信を積極的に行うようになったことも、政治分野でインターネットを使用し始めた経緯の一つだと考えられます。

Q 選挙運動においてインターネットを活用する利点は。

A 他の選挙運動に比べて規制のハードルが低いことです。ポスターやビラなどの文書図画にはさまざまな規制がある一方で、インターネットは電子メール等の規制しかなく柔軟に利用できます。また、有権者にとってネットは今や最も身近ですから、政治や選挙の情報も多く流れるようになりました。

Q 情報を発信する側、受け取る側の留意点とは。

A 虚偽情報や信用性の低い情報を流通しないこと、流通に加担しないことが重要です。虚偽情報の流通は規制されていますが、「表現の自由」の観点から取り締まりがほとんど行われていない現状にあります。そもそも政党や政治家は自分たちの立場で発信しているのであり、必ずしも正確な情報とは限りません。自分で情報を精査することも大切です。

Q 従来の選挙運動から変化は。

A インターネットと現地での選挙運動を組み合わせる方法が試行錯誤されています。特に近年関心が向いているのは動画の活用です。街頭活動の様子を配信したり、ショート動画を作ったりといろいろ活用されています。

Q 学生は政治とどう向き合うか。

A 政治家は政治家の立場から見えている情報を発信しているということに留意し、そのまま信用するのではなく、判断することが大切です。

プロフィール

にしだ りょうすけ 2012年慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程単位取得退学。16年東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授。24年より現職。著書に『ネット選挙 解禁がもたらす日本社会の変容』(東洋経済新報社刊)など。

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