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【N-Leaders】相川佳之さん ―目標を持ってあきらめない

出身大学別の社長数で長年トップを誇る本学(※)。そこで、各業界でリーダーとして活躍する本学卒業生たちの生きざまに迫る企画「N-Leaders」を連載していく。第1回目は医学部を卒業したSBCメディカルグループホールディングスCEOの相川佳之さん。人生の転機となった学生時代、大切にしている考え、そして世界一の医療機関への夢について話を聞いた。
(※出所:東京商工リサーチ)

―SBCグループの事業内容は。

 2000年に1院目となる湘南美容クリニックを神奈川県藤沢市に開院しました。現在はグループ全体で250院以上展開しており、美容医療にとどまらず、保険診療も含めた幅広い総合医療サービスを提供しています。
 私はグループ全体を統括をし、今後の方針などを日々判断しています。いわば船のかじ取りをする船長のような立ち位置です。
 グローバル展開も積極的に進めており、アメリカやベトナム、シンガポールなどにも開院しています。アメリカをはじめ、海外から先進的な医療技術を適正価格で導入できるのも当グループの強みの一つです。

―どのような幼少期だったのか。

 幼いころから何か先頭に立って企画するようなリーダーシップをとるタイプでした。
 また、母が教育熱心で小学生のころから家庭教師に勉強を教わっていました。両親が薬剤師ということもあり、漠然と将来は薬学部に進むものと考えていました。
 中学からは軟式テニスも始めました。

―なぜ医学部を志望したのか。

 薬学部に進学を考えていたのですが、どうせ医療の道に進むのならより仕事の幅が広がる医師を目指そうと考えを改め、入試2週間前に医学部を志望することにしました。
 特に日本は医師免許の権限が強いです。例えば日本は医師免許の責任の下、海外から薬を独自に仕入れて患者さんに処方することができますが、アメリカや中国をはじめ多くの国では医師であっても原則自国が承認した薬しか使用できません。
 このような日本の医師免許が持つオールマイティーな部分にも魅力を感じ、進路を変更しました。

―なぜ本学医学部に。

 2年間浪人したのですが、何校か受験して結果的に合格した本学医学部に進学したというところです。
 ただ総合大学に行きたいとは考えていました。医学部の単科大学だとつながりが少なくて視野が狭まるイメージがありましたので、日本一のマンモス校である本学に期待していました。
 しかし、いざ進学すると他学部とのつながりは全然ありませんでした(笑)。せいぜいオール日大(体育大会)で理工学部とテニスの試合をしたくらいで、それ以外の関わりは皆無でしたね。今もその点はあまり変わっていないと聞くので、少しもったいないと思います。

人生最大の転機となった大学時代

―どのような学生時代だったか。

 高校までは軟式テニスをしていましたが、大学から硬式テニスを始めました。
 正直、医学生たちの中にはテニスが強そうな人がいなくて、自分ならすぐ優勝してしまうのではないかと高をくくっていました。しかし、彼らの中には幼いころから硬式テニスをしている人も多く、対して自分は大学から硬式に転向したため、全く歯が立ちません。
 そこで、関東医科歯科リーグ(関東の医学部と歯学部のテニスリーグ戦)のシングルスで優勝するという目標を立てて、それからはテニス漬けの毎日でした。6年間ほとんどテニスウエアを着ているような生活だったと思います。

―大学生活から得たものは。

 優勝するという目標を立ててからはほぼ毎日ラケットを振り続け、結果的にキャプテンになった大学4年次に優勝することができました。そこから、自分はやればできるという自己概念が生まれました。
 どの分野においても努力の基準が高くなければトップを取ることはできません。トップを取るためにテニスを頑張れたからこそ、体力と集中力、そして頑張る基準を上げることができました。だからこの経験が自分の人生の原点であり、一番の転機になりました。

―なぜ美容外科に。

 救命救急、泌尿器科、耳鼻科、そして美容外科の中でとても迷いました。私自身、背が低いコンプレックスもあり、容姿のコンプレックスを改善する医療に面白さと先進性を感じ、悩みに悩んで美容外科に進みました。
 また、卒業後は3年で独立すると決めていました。当時美容医療がより身近になってきていて、始めるなら今しかないと考えていました。品川美容外科での勤務などを経て独立しました。

―本学テニス部後援会会長としての活動は。

 テニス部の山田真基監督との縁で引き受けました。おもに活動資金面でバックアップしています。自分の原点であるテニスへ恩返ししたいという気持ちからです。
 医学部のテニス部にも支援していて、今年は長野県の木島平にあるテニスコートで練習の機会を設けました。また、医学部校舎の建て替えで元々あったテニスコートがなくなってしまうようなので、私が理事長を務めているSBC東京医療大学のテニスコートを練習場所として提供しようと考えています。
 今でも趣味でテニスを続けているのですが、テニスをしている時は仕事のことを忘れて気分転換できるので、テニスにはずっと助けられていますね。

大切にしている2つの考え

―今に通じる考えは。

 「TTP〈徹底的にパクる〉」と「目標からの逆算思考」は大切にしていて、スタッフにもよく言っています。今思えば学生時代から意識していました。

―「TTP〈徹底的にパクる〉」とは。

 勝ちたいと思ったときは、勝っている人をとにかく徹底的にパクるということです。
 当時本学医学部は関東医科歯科リーグで6部あるうち3部にいました。そこで、自分がキャプテンになったとき、強い大学はなぜ強くてどこに差があるのかを考え、まずは強い大学の練習を見学したのです。見習うべき練習法があればそのまま導入したり、外部からテニスコーチを呼んでいることを知れば自らコーチを連れてきたり、とにかくTTPしました。自ら夏合宿を企画して朝から晩まで練習したりもしました。結果的に自分が6年の時に1部に昇格することができました。
 この考えは今でも変わっていません。例えば開業当初、規模を拡大するにはどうするかを考えた時、とにかく他業種の経営に関する本を読んでさまざまな勝ちパターンをTTPしてきました。何かに挑戦しようと考えた時、結局何も知らない中で考えてもしょうがない。だから、まずはうまくいっている人をTTPして、考える材料を手に入れるわけです。
 特に、この「徹底的に」というのが非常に大事です。多くの人は中途半端にパクるのですが、まずは徹底的にパクる。そして完璧にパクることができてから初めて自分のオリジナリティを加えていくのです。

―「目標からの逆算思考」とは。

 例えば、飛行機で月に行くことはできませんよね。月に行くという目標を決めたからロケットを作ろうという考えになるわけです。あてもなく飛行機に乗ったまま月に行くことは絶対にできません。
 学生生活も同じで、目標がないと朝からゲームをしたり、必要もない飲み会にお金を使ってしまったりと無駄な時間とお金をかけてしまいます。そのままだと何となく就職して、給料も決まってきてしまいます。だから、初めに目標をバチっと決めることで時間とお金の無駄遣いが必然的になくなります。
 自分がリーグ戦で優勝できたのも初めに優勝するという目標を立てて、そのためには毎日ラケットを振らなければならないと逆算して計画を立てたからだと思います。そして、1院目を開業したときから、日本一患者さんが来る美容医療グループを作ると決めていたから今があると考えています。

―目標がない学生も多い。

 自信がないから目標が持てないのだと思います。負け癖がついているとどうしても負けるのが想像できてしまい、目標を立てるのもつらいものです。それならば目標を持たない方がよい、という思考になってしまいます。
 そのような場合は、小さなことでも何でもいいから勝ち癖をつけることです。例えば3日間は朝7時に起きるとか、人に言えないようなことでもよいので、とにかく自分で何かを決めてやり切ってください。そうすると少しずつ勝ち癖がついていって目標を持てるようになります。
 自信は自分を信じると書きます。私はあのときラケットを毎日振り続けられたから自分を信じることができて、自信につながりました。

世界一の医療機関へ

―今後の展望は。

 アメリカにあるメイヨークリニックのような世界最大級の医療機関にしたいと考えています。
 私は開業当初から日本一の美容医療グループにすると決めていましたが、日本一が見えてくるころにメイヨークリニックに関する本に感銘を受け、目標が変わりました。メイヨークリニックは世界中から優秀な医師が集まり、世界的に評価の高い総合病院で、医学部や看護学部などを持つ教育機関でもあります。
 その目標を達成するために、2023年からは大学経営にも挑んでいます。また、グループとしては2050年までに世界一「お客さま」の多い医療グループになるという目標を立て、2024年にアメリカの株式市場の一つであるナスダックに上場しました。難しい判断に迫られることもありますが、自分なら達成できると信じています。

―学生へのメッセージ。

 明確な目標をもってあきらめないことが一番大切です。成功とは人によって定義が違うので、お金を持つことだけが成功ではありません。自分の幸せは自分の心が決めること。
 いずれにしても、一回しかない自分の人生で何がしたいかを明確にしなければ、成功か失敗かもわかりません。人とは比べず、まずは自分なりの目標を持ち、あきらめずに行動してみてください。

相川佳之 あいかわよしゆき
1970年生まれ。1997年本学医学部医学科卒。品川美容外科などの勤務を経て2000年に湘南美容外科クリニック藤沢院を開院。現在はグループ全体で美容医療から一般診療まで幅広く展開。SBCメディカルグループホールディングス最高経営責任者(CEO)として医療機関の経営支援を行うほか、SBC東京医療大学理事長などを務める。本学テニス部後援会会長。

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