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先生教えて! 選択的夫婦別姓 大杉 麻美教授  法(家族法)

影響を受ける子どもに配慮した法整備を

 近年、ジェンダー平等の観点から議論されている「選択的夫婦別姓」。国民民主党が2024年10月の衆院選挙で公約として掲げ話題となったほか、現在も多くの裁判が行われている。その制度と問題点について法学部の大杉麻美教授(家族法)に聞いた。

Q 選択的夫婦別姓制度とは。
 A まず、「姓」は、法律上は「氏(うじ)」と呼ばれます。現在は民法750条で「夫婦は婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称するとして、夫婦は同氏にする」と定めています。一方で選択的夫婦別姓は、婚姻に際し夫婦同氏、夫婦別氏のいずれかを選択できる制度です。
 
 Q 現在の制度の成り立ちは。
 A 戦前、氏は家の象徴であり、家の構成員である家族は、家の氏を称するとされていました。しかし終戦と同時に家制度や封建制度が廃止され、氏も家の象徴から個人の呼称へと変化。「夫婦はともに夫の氏を称する」とされていたが、男女平等に反するため現行法の「当事者の協議により夫又は妻の氏を選択する」と定められました。

 Q なぜ選択的夫婦別姓を求める人が出てきたのか。
 A 23年の統計資料をみると、約95%の女性が婚姻の際に夫の氏に変更しています。ただ、夫婦同氏という既成概念のままに改姓した後、違和感や負担を訴える声が次第に上がり始めました。海外では夫婦別氏の国もたくさんあり、日本もそれに倣えば良い、という意見が出てきました。

 Q 選択的夫婦別姓制度の問題点は。
 A まず、戸籍の記載をどうするのかという点です。現在の法律では「同じ氏の人が同じ戸籍に入る」と定められているため、改正が必要になります。また、別姓を選択した夫婦の子どもの扱いが問題になってきます。

 Q 子どもの氏はどうなるのか。
 A 現在の法律では、子は親と同じ氏を称します。選択的夫婦別姓制度を導入した場合、10年に準備された改正法案では婚姻の際に夫又は妻、どちらかの氏を子が称すべき氏として定めるとしています。兄弟で氏が異なる懸念もあり、子どもへの影響に配慮が必要です。

 Q 学生が知っておくべきことは。
 A 氏に対する考え方は、生まれ育った時代や家庭環境によって異なります。世代を問わず多くの先生や大人と話をしてさまざまな意見を知り、これからの未来を考えてほしいと思います。

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