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生物資源科 犬の稀有な血管異常

平本さんら世界初の症例報告

海外の学術誌に論文が掲載された平本さん

 生物資源科学部の平本海優さん(獣医6)らの研究チームは、極めてまれな犬の先天性血管異常を世界で初めて診断・治療した症例を報告した。研究成果は「Journal of Veterinary Cardiology(獣医心臓病学ジャーナル)」に掲載された。

 研究対象となったのは、心臓の超音波検査をしたところ異常な血流が認められ、本学の動物病院に紹介された1歳雄のコーイケルホンディエ。平本さんが所属する獣医放射線学研究室の合屋征二郎専任講師(獣医放射線学)が本学の動物病院循環器科長を務めており、平本さんに論文執筆を提案する形で研究がスタートした。

 診断には1回転で心臓全体を撮影できる高性能カメラの「320列マルチディテクターCT」と心拍のブレを抑えて撮る「心電図同期CT血管造影検査」を使用し、明瞭な血管の画像化に成功。目立った臨床症状は出ていなかったものの、右肋頸(ろっけい)動脈から左肺動脈へつながるシャント血管(異常な血液の通り道)と、左冠動脈から左肺動脈へつながるシャント血管が同時に存在したため、心臓への負荷が大きく将来的にうっ血性心不全に陥る可能性があった。

 そのため、血管を糸で縛って異常な血流を止めるための開胸手術を動物病院外科の浅野和之教授(獣医外科学)の下、実施。今回の症例のように血管走行が非常に複雑な場合は、カテーテルを心臓の深部まで進める必要がある。高度な技術が要求される上に出血のリスクも伴うため、開胸手術が最も適切だった。

 診断を進めていく中で難しかったのは、本来誕生後に閉じるはずの大動脈と肺動脈をつなぐ血管が、先天的に開いたまま残ってしまう動脈管開存症なのか、今回のような非常にまれなシャントによるものなのかを見極めることだった。

 今回の症例の成功例が論文として報告されることで、今後同様の症例に遭遇した動物病院の獣医師が飼い主に対して、治療の選択肢を提案する際の重要な根拠となる。「今回の症例を世界中の人に伝えることができてうれしい」と平本さんは研究成果を振り返った。

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