【テニス】男子20年ぶり4度目王座奪還/全日本大学対抗王座
無敵のドリームチームが大願成就!!
優勝が決まり胴上げをされる山田監督
テニスの全日本大学対抗王座決定試合が10月30日から11月4日まで、東京都江東区の有明テニスの森公園テニスコートで行われ、本学男子が20年ぶり4度目の優勝に輝いた。また、最優秀選手に石垣秀悟(経済4=長野・松商学園高)と手嶋海陽(スポーツ科4=鹿児島・神村学園高)が選ばれた。
同大会は各地域の予選大会を勝ち上がった男女各10校が、トーナメント方式で行う団体戦。男子はシングルス6本、ダブルス3本の計9本で勝敗を決める。8月下旬から9月上旬に行われた関東学生リーグ(1部)を無敗で優勝した本学男子は関東第一代表として王座奪還をかけて挑んだ。
11月1日に行われた愛知学院大との2回戦ではシングルス、ダブルス共に一戦も落とさずに、9勝0敗で完封した。
2日の関西大(関西第一代表)との準決勝。ダブルスでは石垣・手嶋ペアが3セット目を落とし、セットカウント1―2で敗れるも、斎藤成(文理4=神奈川・湘南工大付高)・高悠亜(スポーツ科3=岡山・関西高)ペアがセットカウント2―1、丹下颯希(さき)(文理3=愛媛・新田高)・高畑里樹(同2=兵庫・相生学院高)ペアが2―0でそれぞれ制した。
シングルスでは田岡大知(スポーツ科4=愛知・名古屋高)、手嶋、石垣が出場。それぞれ安定したプレーでストレート勝ち。この時点で5勝1敗となり本学の勝利が決定。決勝進出を決めた。
4日の筑波大(関東第二代表)との決勝は準決勝とオーダーを変えずに出場。ダブルスは全3組が勝利。シングルスは田岡が1セット目を先取するも、2、3セット目を落とし敗れる。高も1セット目のタイブレークを落としストレート負け。しかし、石垣と小泉熙毅(のりたか)(通信教育部3=埼玉・浦和麗明高)はセットカウント2―0で堂々たる勝利を見せ、手嶋も接戦の末2―1で勝ち切った。
丹下は同じ新田高出身で主将の中村元(4)と対戦。1セット目は丹下がリードしゲームカウント6―4で奪取。しかし、2セット目はミスが目立ち1―6で完敗。迎えた3セット目は互いに点を取り合いタイブレークに。両者白熱しゲームカウントは7―7までもつれ込んだ。しかし、前衛で構えた丹下のボレーが決まり8―7。最後は中村のストロークがアウトとなり、試合時間3時間以上にも及んだ体力戦を粘り勝ちした。結果、7勝2敗で20年ぶりとなる悲願の王座奪還を成就させた。
監督就任後初の日本一に導いた山田真幹(まさもと)監督は「初めのダブルス3戦で勝ち切れたことが大きかった。昨年準優勝に終わった悔しい思いが優勝につながった」と喜びをにじませた。
チームのために
ダブルスで勝利し、手嶋に駆け寄る石垣(左)
🎾…「みんなの努力が報われてうれしいしほっとした」。記者の質問にそう答えた石垣からは、いつもチームを一番に思う主将としての姿が映し出されていた。
本学テニス部男子は2022年に関東大学リーグ1部に昇格。23年には19年ぶりの全日本大学王座出場を決めて準優勝を果たした。まさに大逆襲に転じた同部男子。その年の10月に期待を背負って主将指名された石垣は明確なミッションを自覚していた。
まず、ダブルスの弱さの克服。昨年の同王座で準優勝に甘んじたころから感じていた。実際に決勝ではダブルス3戦とも完敗。原因はダブルスの練習量の少なさにある。そのため、今年からは土・日曜日のいずれかは必ずダブルスの練習日と定めた。もちろん部員全員が強制参加。出欠を石垣自身が取り、チームを先導してきた。
「部員一人一人と向き合ってきた」という。モチベーション管理も怠らない。試合で負けて落ち込んでいる選手とは、総務とともに面談を行いできる限りのケアをしてきた。また、部員とすれ違った時に声をかけないことはまずない。主将として当然のコミュニケーションとはいえ、それを積み重ねることで、チームが大きく成長できた。
そして迎えた決勝。ダブルスでは練習の成果が花開き、3戦とも見事に全勝。「ここで少し心が楽になった」。シングルスでは石垣自身は快勝。丹下の出番になると自らベンチコーチにも入った。客観的に試合を分析。丹下が自分のテニスが貫けるよう声をかけながら勝利へ導いた。結果は7勝2敗。圧巻の優勝劇で目標の王座奪還を果たし、石垣は有終の美を飾った。
4年間の競技生活を通し、我慢して続ける「忍耐力」と最後までやり切る「遂行力」が身についたという。主将の座は代交代式で後輩に託し、卒業後は輝かしい足跡を残したテニスとは別の道を歩む。石垣ならどんな道でも、ここで得た力を遺(い)憾(かん)なく発揮して活躍するに違いない。
戦略変更が鍵に
🎾…同大会では通常最優秀選手が男女1人ずつ選ばれる。しかし、今年は違った。表彰式で男子は2人いると発表された。まず選ばれたのは石垣。次に呼ばれたのは、石垣と大学2年からダブルスを組んできた副将の手嶋だった。
高校のころは海外大会を中心に活躍。転戦していたこともあり、個人戦ばかりで一度も団体戦への出場経験はなかった。大学でダブルス結成となり、互いに第1希望で石垣と組んだ。結成後9月に出場した関東学生選手権では同ペアで2年生ながら優勝。息がぴたりと合い頭角を現していった。
石垣からは自分の足りない部分を補ってくれる実力者だと評価。にもかかわらず、練習時に「勝てないかも」など自信なさげに保険をかけがちだという。しかし、今大会では保険を封印。それほど今大会にかける思いは強かった。
迎えた決勝。相手の筑波大ペアは過去に2度対戦し、全て敗れている。万全の対策はしてきたが、勝つ見込みは低かった。1セット目、いきなり3ゲームをとられ厳しいスタート。流れがつかめず4―6で落とす。前衛の石垣が得意とする低めのストレートを相手が返してきたからだ。しかし焦らなかった。ベンチコーチの意見も踏まえ、思い切って戦略を変更。どんなボールも打ち返す手嶋の対応力に勝負を託した。ボールを後衛の手嶋に任せラリーを続ける作戦だ。戦略変更が見事に功を奏す。2セット目で流れを取り戻し6―3、3セット目を10―3で逆転勝利。互いに抱き合い喜びを分かち合った。
手嶋は卒業後、JR北海道に所属し、選手としてテニスを続ける。石垣とのダブルスで培った勝負強さを生かして、新たな高みを目指していく。
手嶋(左)と石垣。長くペアを組んでいるからか、食事に行った際にいつの間にか同じメニューを注文していることもあるという
試合ギャラリー
D1 石垣・手嶋ペア ○2(4-6.6-3.10-3)1●
D2 斎藤・高ペア ○2(7-6(8).7-5)0●
D3 丹下・高畑ペア ○2(4-6.6-1.10-2)1●
S1 高 ●0(6-7(6).3-6)2○
S2 丹下 ○2(6-4.1-6.7-6(7))1●
S3 石垣 ○2(6-1.6-1)0●
S4 小泉 ○2(7-5.6-3)0●
S5 手嶋 ○2(7-5.4-6.6-3)1●
S6 田岡 ●1(7-5.3-6.2-6)2○
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