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馬術部創部100周年  馬術全日本学生三大大会  3種目総合14連覇

馬術部は今年創部100周年を迎えた―。全日本学生三大大会が10月31日から11月4日まで東京都世田谷区のJRA馬事公苑で行われ、本学は団体で馬場馬術、総合馬術の2種目で優勝、障害馬術で2位に入り、三種目総合では見事に14連覇を達成した。まさに王者の風格だ。個人では、馬場馬術で砂川成弘(スポーツ科2=奈良・山辺高)が2位に入賞。そこで諸岡慶監督へのインタビューや部員たちへの密着取材を通じて、常勝・馬術部の強さに迫った。(文・写真=緒方桃子、杉山うの、藤井菜穂)

砂川 馬場 準V

馬場馬術は団体で砂川と奥田記枝(生物資源科3=三重・高田高)の活躍により、合計得点率194・296%で3年ぶりに1位を奪還した。個人では砂川がクアンドに騎乗し予選をトップ通過。芸術点が高く評価されたが、最終得点率で1位にわずかに及ばなかった。
 総合馬術は団体で砂川と奥田がクロスカントリー、障害ともに減点0で走行。9年連続の優勝を果たした。
 一方、障害馬術は団体で1位の関西大に総減点数と総タイムで差をつけられて準優勝。個人ではノックスVDに騎乗した鈴木美咲(同2=佐野日大中教校)が減点0で2回を走り切った。1位タイでジャンプオフ(決定戦)に進出したものの、障害減点が響き4位に終わった。
 団体3種目の合計得点は915点で、2位の早大に293点の大差をつけて圧倒。14連覇を飾った。

団体優勝に貢献

 ○…「みんなの力があったからこその14連覇です」―。3種目のうち2種目で入賞し、団体優勝に貢献した砂川。謙虚にチームの結束力を強調した。
 小学生の頃から馬に乗り、クラブや合宿で関わった本学の馬術部学生に憧れ入学した。1年生でインカレに出場するも9位と後塵を拝し、自身の実力不足を痛感させられた。
 普段から感じていた自身の弱みはメンタル面。最終走行を任されたり、自分の演技が団体の結果を左右する場面だったりすると、プレッシャーを強く感じ、本領が発揮できない。
 部として最大の目標にしているのが全日本学生三大大会。昨年の反省を繰り返さないように、前大会終了直後から今大会に向け努力してきたという。
 弱さを克服するため「自分が失敗したら個人で勝てない」「団体で負けたら連覇が途絶えてしまう」とあえて自らにプレッシャーをかけ続けた。そしてメンタル強化の成果が表れる。
 最終日に行われた総合馬術の障害馬術。本学選手の中で最終走者を任された。障害馬術団体の9連覇がかかった大一番。2位の関西大との点差は縮まり、一つのミスも許されない。その緊張感の中、砂川は安定した走りで満点走行。連覇のたすきを無事つないだ。
 今後の目標は、明大の三種目総合17連覇を超える記録を達成すること。そのため「後輩にもバトンを託せるよう基礎を固め、圧倒的な力の差で勝てるチームにしたい」と、砂川はさらなる団体の高みを目指す。

監督インタビュー 諸岡 慶監督

 本学在学時から馬術部を半世紀にわたり育ててきた諸岡慶監督。創部100周年の今年、全日本学生三大大会で見事に14連覇を成し遂げた。盤石な大学王座を確立させた諸岡監督から強さの秘訣(ひけつ)を聞いた。

「非情」な判断が強さの鍵

 ―今回の14連覇のスタートとなった2011年。本学は三種目総合1位に返り咲きました。
 悲願の優勝でした。監督に就任した当時は明大一強。専大と2位を奪い合う結果が続き、悔しくて仕方がなかったです。馬の入れ替えや指導陣の強化による技術力の向上を重ね、挑戦し続けました。
 なにより大切なのは「勝ちたい」という気持ち。技術と経験がある大人が真剣に勝利を狙い、学生をサポートすれば勝てます。
 ―団体で連覇するための工夫は何ですか。
 一人だけ勝たせるのは楽です。一番強い選手を一番良い馬に乗せれば良い。しかし団体競技は上位3組の結果が反映されるので、バランス良く入賞しなければなりません。
 そのためレベルが低い層の強化に力を入れています。最も技術力がある学生を2、3番目に良い馬に乗せ、最も良い馬を他の学生と組み合わせます。
 また、インカレ前は非情な判断をします。たとえ4年間頑張っていた学生でも、実力次第で大会1週間前に出場を辞めさせることもあります。上級生の中には、他の選手の方が技術力が高いと判断し、自ら辞退を申し出る学生もいます。

身だしなみ、あいさつの指導も徹底する

 ―学生に対してどんな指導をしていますか。
 本学の強さは知れ渡っているため、本学の選手というだけで注目されます。競技会場では身なりを整えることと関係者へのあいさつを徹底。その上で技術が評価されると伝えています。
 生活態度も厳しく見ます。派手なピアスやネイル、染髪は禁止です。毎朝5時のミーティングの出欠や学業成績の確認も欠かせません。
 学生にとって自分は親代わりの立場です。卒業後、馬に関係する職に就かなかったとしても、社会で通用する人間になれるような指導を心がけています。
 ―今後の目標は。
 創部100周年を機に今年度で引退することも考えていますが、明大を超える三種目総合18連覇を見届けたい気待ちもあります。監督を務める以上は負けません。

部員の一日に密着

馬中心にした生活を堅持

 馬術部の朝は早い。夜明け前の午前4時。神奈川県藤沢市の厩舎(きゅうしゃ)に学生が続々と集まってくる。
 厩舎内は馬1頭ごとに「馬房」という部屋で仕切られている。中では馬の世話をする「馬付き」という学生が給餌する「飼い付け」や掃除、馬の体調管理などを担当する。
 午前5時からはミーティング。一日の流れを確認する。これが終わると学生は練習や朝食を済ませ午前9時からの授業へ向かう。飼い付けは午前4時、正午、午後4時と8時の一日4回。厩舎は午後8時半には消灯となる。
 馬術部学生の大半は厩舎近くの寮生活だ。スポーツ科学部のキャンパスまで約1時間かけて通う学生もいる。生活リズムは学生によって異なるため行動は各自で判断。しかし、どの学生も「馬の健康のため飼い付けなどの時間は絶対に守る」と、馬中心の生活スタイルは崩さない。
 多忙を極める馬術部員の一日。障害馬のR・バルボッサを担当する大久保蘭子(生物資源科1=千葉・翔凜高)は「担当する人の態度で馬の表情が緩んだり険しくなったりする。人と馬とのコミュニケーションが大切だ」と話し、馬をいとおし気になでていた。

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