【柔道】女子48㌔級で原田瑞希が初優勝/全日本学生体重別選手権

1本目の内股をかける原田(青)
柔道の全日本学生体重別選手権が10月5、6日に東京都千代田区の日本武道館で行われ、女子48㌔級の原田瑞希(スポーツ科3=大分・柳ヶ浦高)が初優勝に輝いた。また、男子73㌔級の太田隆介(法3=愛知・桜丘高)、同100㌔級の浜田哲太(スポーツ科3=東京・修徳高)が準優勝となった。
(文・写真=松本孝太)
20年ぶり2人目の快挙

2本目の内股を決める原田(青)

原田の主な個人戦戦績(いずれも女子48㌔級)
6日の女子48㌔級の原田は2回戦まで順当に勝ち上がった。
3回戦では今年1月のベルギー国際大会の同級決勝で組み合った足立美翔(環太平洋大1)と対戦。試合は両者譲らずゴールデンスコア(延長戦)に突入。
しかし、原田が粘り切り、試合時間6分2秒で小外刈りの技ありを決めて駒を進めた。
準決勝は吉岡光(東海大4)と対戦。試合終了間際までもつれ込んだが、残り17秒で小内巻き込みが決まり勝ち切った。
迎えた決勝。昨年11月の講道館杯で1年生ながら優勝した近藤美月(同2)と対戦。近藤とは同郷ということもあり何度も組み合ってきたライバル。
試合開始直後、近藤の技ありが決まる。しかし、原田がすぐに得意の内股で技ありを取り返す。その後も積極的に技をかけ、再び内股が決まり、本学柔道部女子部門としては20年ぶりの学生日本一を勝ち取った。
男子は太田、浜田が準V

決勝で小田桐と組み合う太田(青)
5日の男子73㌔級の太田はシード枠で出場した2回戦を反則勝ち。3回戦から準決勝までを持ち前のしなやかさを生かし、渾身(こんしん)の一本で勝ち進んだ。
迎えた決勝は小田桐美生(国士舘大4)と対戦。組み手争いが続き、技がかけられない。激しい攻防の末、試合時間2分2秒に小田桐に一本を決められ、準優勝に終わった。
6日の同100㌔級の浜田は初戦から3回戦までを一本勝ち。準々決勝、準決勝を技ありで順調に勝ち進んだ。
迎えた決勝。平見陸(天理大3)と対戦。終始攻め続け何度も背負い投げをかけるも決まらず、ゴールデンスコアへ。体力戦となり組み手のフォームが徐々に崩れていく。試合時間は10分を超え、ついに平見が隙をつき内股の技あり。惜しくも準優勝となった。
相手を徹底研究

西田コーチと固く抱き合う
🥋…優勝が決まった瞬間、それまでの鋭かった目元が一気にほころび、少女のような笑顔で西田優香コーチと固く抱き合った。本学柔道部女子部門としては実に20年ぶり2人目の快挙を成し遂げた原田。「一つ一つの試合を勝ち進め、気づいたら優勝していた」と気負いなく振り返った。
兄の影響で柔道に出会い、4歳から今まで柔道一筋。しかし、地区大会や国際大会での優勝経験はあるものの、全日本クラスでは今まで優勝を逃していた。とにかく筋金入りの「負けず嫌い」。対戦相手を1人1人徹底的に「研究」するのが日課だ。
準決勝で対戦した吉岡とは東京学生体重別選手権でも対戦し勝利した。しかし、「たまたま勝っただけ」と気を引き締め、必ず勝てるように研究を重ねた。西田コーチを相手に見立て、技をかけることを意識。試合では研究の成果が思い通り発揮され、納得感を持って勝ち切った。
決勝で対戦した近藤は、体の軸が強く自分の技が全く効かないような「パワー」に優れた選手。対して原田の強みは思い切りよく次々と技をかけていく「スピード」柔道。練習前後にもストレッチを行いパワーの増強に努めたことはもちろんだが、自分の持ち味である「スピード」で勝負をかけることを一番に意識した。

優勝が決まり思わず涙を流す
決勝では試合開始後すぐに近藤に技ありを取られてしまう。しかし原田は至って冷静だった。「あと3分あれば大丈夫」。今までの練習を胸に必ず相手の背中を畳につけるという強い気持ちで再び挑む。そして、得意技の内股で技ありが2本立て続けに決まり見事優勝。武道館にその名が響き渡った。
今後の目標は講道館杯で優勝し、グランドスラム東京に出場すること。そして「五輪に出場したい」と、はにかみながらも真っすぐなまなざしで答えた。真の日本一、そして世界一の柔道家になるため今日もひたむきに畳に向かう。

二人三脚で共に歩んできた西田コーチ(右)は「自分より自分を理解してくれている」と原田
いつか泣かせる

決勝で平見と闘う浜田(青)
🥋…「決勝は40点」。浜田は今大会の全試合を振り返って赤点すれすれに評した。準決勝までの自分は100点だったという。特に3回戦で対峙(たいじ)した樋笠将太(天理大3)とは過去に対戦経験がなかった。不安いっぱいだったが、袖釣り込み腰の一本がきれいに決まり、「今日はいけるかもしれない」と奮起した。
迎えた決勝。長い戦いだった。両者一歩も譲らず膠着(こうちゃく)状態。試合時間は10分にも及んだ。「チャンスをずっと待っていた」。しかし、相手は全く隙を見せなかった。試合時間が進むにつれ袖をつかむ力が弱まり、耐えられなくなっていく。

うなだれる浜田を励ます金野監督
そして試合時間10分39秒。浜田が技をかけようとしたその一瞬の隙を平見が見逃さず、足をすくい内股の技あり。同時に夢にまで見た優勝はかなうことなく終わりを告げた。浜田は金野潤監督を前にただ泣きじゃくることしかできなかった。
試合後、金野監督から「試合で泣くなら練習で泣け」と一喝。柔道指導者である父からも試合の進め方で注意された。
浜田の夢は金野監督と父を泣かせることだ。父からは「日本一になるまでは泣かない」と言われている。ここで立ち止まっている暇はない。「男泣き」させるため、ラストイヤーに向けて猛練習に励む。
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