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研究

樹木医学会  松倉助教に奨励賞授与

ツバキ菌核病菌を比較調査

 樹木医学会は昨年11月16、17日に年次大会を東京都文京区の東京大学弥生キャンパスで開催し、生物資源科学部の松倉君予助教(菌類生態学)が奨励賞を受賞した。

 受賞研究の題目は「ツバキ菌核病菌ツバキキンカクチャワンタケの生態学的研究」。ツバキキンカクチャワンタケは、ツバキ属樹種に感染する病原体の一種。感染すると花弁やがく片に花腐れが生じ、木の下に茶碗型のきのこが発生する。同菌に感染したツバキの花弁は変色するため、園芸的価値を損なう病原菌として問題視されてきた。同菌は日本で初めて記録されたが、国内での研究はあまり行われてこなかった。
松倉助教は未解明な点が多い同菌の生態について、これまで宿主であることが確認され、標本が残されているヤブツバキに加え、国内に広域分布するツバキ属樹種のユキツバキ、サザンカの野生の原種三つの比較調査を行った。
今回の調査結果によると、ユキツバキもヤブツバキ同様に同菌の宿主であることが確認されたが、一方で同菌がサザンカを宿主としている証拠は確認できなかった。
また、同菌の遺伝型には2タイプがあると判明。どちらも両樹種を宿主として地域に偏りなく全国に分布していたが、宿主選好性を示した。さらに、2タイプの遺伝型は子実体や胞子の形態に違いがなく、種類として異なっていると断定はできないが、進化の過程で2種類に分化したと推測された。
松倉助教は「遺伝的に異なるタイプがあることは分かったが、その違いと病気との関連性は分かっていない。今後は病原性の違いに注目して調査していきたい」と展望を語った。

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