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JADR総会・学術大会  植松さん(松戸歯)が初の受賞

口腔状態が全身疾患に関与

 国際歯科研究学会日本部会(JADR)は昨年11月16、17日に年次総会・学術大会を鹿児島市のカクイックス交流センターで開催し、本学の植松俊吉さん(松戸歯4)が第1回Morita Student Awardを受賞した。

 同学会は国内唯一の国際的・学際的な歯学系学会として注目されており、若手研究者の育成やアジア諸国の研究者支援、学術交流の促進を目指して大会を開催。

 同賞は学部生にのみ与えられる。今回は最終候補者7人のうち3人が受賞。植松さんは、5人の評価者全員から的確な英語での研究発表と質疑応答が評価され1位に選ばれた。

 植松さんの演題は「Identification of regulating signals in Streptococcus mutans for oral dysbiosis(口腔フローラの病原性化を誘導するミュータンス菌のシグナルシステムの解明)」。

 高齢者が発症しやすい誤嚥(ごえん)性肺炎や感染性心内膜炎の原因として、先行研究で発見されていた口腔内の黄色ブドウ球菌に着目。塩分濃度の高い食べ物と黄色ブドウ球菌の付着が関与していると仮定し実験を開始。

 結果、塩分濃度が上がるにつれて黄色ブドウ球菌がバイオフィルム(口腔内にすみつく菌凝集)を形成して、付着する可能性が高まることを発見。加えて、耐塩性菌だけでなく、塩分濃度に依存してバイオフィルム形成を行っていることが分かった。

 また、黄色ブドウ球菌とミュータンス連鎖球菌(虫歯の原因菌)の混合感染におけるミュータンス遺伝子の関与を研究。

 結果、ミュータンス遺伝子のうちのクオラムセンシング(菌密度を感知するシステム)に関与する遺伝子が黄色ブドウ球菌のバイオフィルム形成に関係することを解明した。

 口腔状態が全身疾患に関与する事実を広めるエビデンス(証拠やデータ)の一つとして、塩分や糖分の摂取制限、定期的な歯磨きの必要性を結論づけた。

 この研究は、松戸歯学部の泉福英信教授(感染免疫学)と共同で行われ、約2週間で同大会に向けて準備。発表は4分間の英語でのポスタープレゼンテーションと質疑応答を基に審査。

 受賞した植松さんは「4年間の研究が実になってうれしい」と喜びを語った。

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