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特集・連載

先生教えて 「摂食障害」

近年、ソーシャルメディアの影響もありルッキズム(外見に基づく差別)が問題視されている。外見を気にするあまりに陥りやすい摂食障害は、歌手のレディー・ガガも過去に悩んでいたと公表した。若い女性に多い摂食障害とはどのような問題か。文理学部社会学科の中村英代教授(社会学)に話を聞いた。

正しい知識を持ち、自分を大切に

Q 摂食障害とは。
A 食事をほとんど取らない拒食と大量に食べる過食、食べたものを自分で吐いてしまう嘔吐などが主な症状です。拒食と過食・嘔吐はサイクル化もします。過度なダイエットが拒食につながるのですが、体は生命維持のために栄養を必要とするので本人の意思と関係なく食べてしまいます。それが過食・嘔吐となっていきます。

Q 陥りやすい要因は。
A 痩せていることを賛美する文化や環境が社会的要因として挙げられます。心理的要因としては「こうあるべき」という規範意識の強さが関係しています。規範意識が強いこと自体は決して悪いことではありません。しかし、それが「痩せているべき」という方向に意識が向くことで摂食障害に陥りやすくなるのです。

Q なぜ若い女性に多いのか。
A 女性の痩せた体を美しいとする社会の価値観がプレッシャーになりやすいからだと考えられます。最近では、小学生など低年齢の女子から中高年の女性、そして男性でも摂食障害に悩む人が少なくありません。

Q 治療方法は。
A 拒食による低体重の人たちは生命の維持に関わるので入院して医療による管理が必要となります。一方で過食・嘔吐の人たちの回復方法は、当事者同士で集まるセルフヘルプグループへの参加やカウンセリングの受診などがあります。その他、普段の生活での経験や人との出会いから回復に向かう場合もあり、さまざまです。回復に要する期間も個人差があるため、中には長期にわたり苦しむ人もいるのが現状です。

Q 学生にできることは。
A 学生の中にも摂食障害の人はたくさんいます。食べたり吐いたりしてしまう自分や痩せたい気持ちを否定せず、自分に優しく寄り添ってあげてください。相談を受けた時には相手の話を否定せずに聞いてあげるだけで十分です。学生の皆さんには正しい知識を持ち、自分を大切にしながら、この社会を泳いでいってほしいです。

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なかむら ひでよ 2007年お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程単位取得満期退学。14年本学文理学部社会学科准教授、18年より現職。著書に『摂食障害の語り―〈回復〉の臨床社会学』(新曜社)など。

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