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Nperson⑳ 大井洋一さん

大学生活は「100%趣味」

 江古田キャンパスの文芸ラウンジに入ると、机の上にはたくさんのドーナツが並び、大井さんが気さくな笑顔で迎えてくれた。放送作家として『新しいカギ』や『水曜日のダウンタウン』などの人気番組を手掛ける傍ら、芸術学部文芸学科で学生生活を送っている。

 40代後半になってから大学受験に挑戦しようと思ったきっかけは、18歳の頃から抱いていた日芸への憧れだった。高校時代から放送業界に興味を持ち、放送学科への進学も考えていた。当時は「放送業界は選ばれた人が行く場所」というイメージが強く、専門分野だけを学ぶことへの不安もあったため、違う大学の経済学部へ進学。その後、中退を経て、放送作家として仕事をするようになったが、日芸で学びたいという思いは変わらず、改めて放送学科の受験を決意した。

 「あなたが学ぶことは一つもないです」―。放送業界で経験を積んでからの受験(面接含む)はそう簡単なものではなかった。2024年と25年の放送学科への受験は不合格に終わった。

 受験を振り返り、結果的に文芸学科を選んでよかったと話す。「テレビや映像作品って、最終的には演出家のものなのです。でも小説は全部自分。面白いか、つまらないかも全部自分で背負わなきゃいけない」。放送作家として日々共同作業をしているからこそ、自分一人の責任で作品を描く経験が新鮮なのだという。「大学生活は100%趣味」と語る。小説家を目指しているわけではなく、普段体を動かさない人が、たまにゴルフをする感覚で大学生活を楽しんでいるという。

 しかし、趣味と言いながら課題への向き合い方は真剣だ。今一番力を入れて取り組んでいるのがゼミの課題だ。「仕事が第一。仕事があったら授業も休む」と言い切る一方、『仕事をしているから適当だ』と思われたくないというプライドがある。

 今後の目標は「自分の得意ジャンルで結果を出すこと」。どんなに小さなものでもいいから賞を取りたいと意気込む。そしてもう一つの夢がある。「ウェブじゃなくて、本として形にしたい。自分の名前で書籍を出したいです」。

 放送作家として現場に立ちながら、学生として文章に向き合う日々。やりたいことに対して真剣に向き合う大井さんの姿勢が今後も周りに良い影響をもたらしていくだろう。 (塚)

おおい よういち/文芸2/166㌢/東京都出身/好きな作家は原田宗典と西村賢太

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