学生が求める!新たな日本大学 ー相互履修制度ー
「3つのハードル」解消し普及を
本紙では「学生が求める!新たな日本大学」と題し、学生目線で考えた本学のあるべき姿を提言していく。第一回目のテーマは「相互履修制度」。16学部ある総合大学としてのメリットを享受できる制度だが、現状は利用する学生が少ない。そこで日大生100人を対象にアンケートを実施し、同制度の活性化策を探った。
受講総数は2501科目
相互履修制度とは自分の所属する学部・学科以外の講義(授業)を受け、単位を修得できる制度。1995年度に学生の興味関心を深める目的で創設された。2024年度の受講受入科目総数は2501科目(大学院を除く)。16学部を擁する本学の強みを実感できる制度といえる。
同制度を利用しても追加の学費は発生しない。実際に利用されたケースとしては「内定をもらった会社で必要になる専門分野を学ぶため」「興味のある分野を学ぶため」などさまざまだ。
利用者はわずか125人
ただ、実際に利用している学生は少ない。
22年度に同制度を利用した学生数は、受講受入科目総数1812科目(大学院を除く)に対して延べ数でたったの125人。今回のアンケートでも「相互履修制度を利用して授業を受講したことがある」との回答者は100人中わずか4人だった。魅力的な制度なのに、利用されていないのはなぜか―。
![](https://www.nu-press.net/wp-content/uploads/2024/05/スクリーンショット-2024-05-27-084556.png)
その原因は主に三つあると考えられる。
一つは同制度を利用して受講した授業が学部や学科によっては「卒業に必要な単位」に含まれないことだ。例えば、理工学部のカリキュラムでは、他学部や他学科で修得した科目の単位数は「卒業に必要な単位」に含まれない。
二つ目としてキャンパス間の移動距離だ。本学は学部ごとにキャンパスが分散。都内から福島県郡山市の工学部や静岡県三島市の国際関係学部など遠方のキャンパスへ移動することは、時間とコストを考えると現実的に厳しい。アンケートの中でも「相互履修制度を利用したことはないが、興味はある」と回答した学生67人を対象に「相互履修制度を利用しない理由」を聞いたところ、複数回答で「自分が属するキャンパスから希望する学部のキャンパスまで遠すぎて、授業を受講できない」と答えたのは19人にのぼった。
三つ目は同制度の周知不足や履修登録方法の問題だ。制度が利用されていない理由として「受講方法を知らない」との回答(複数回答)が67人中40人。また、「受講方法を知っているが、手続きがめんどう」と回答(同)した学生は同15人。申請手続きに時間と手間がかかる点も普及できていない原因といえる。同制度の履修登録は専用の書類を準備して受講先の学部の教務課に届けなければならない。ポータルサイトを利用して履修登録をする通常の形式と比べると、ハードルが高い。
67%が制度に高い関心
しかし、前述したように「相互履修制度を利用したことはないが、興味はある」との回答は100人中67人と関心は非常に高い。同制度を普及させるにはどうすべきか。
まず、「卒業に必要な単位」に含まれない問題は、学部ごとのカリキュラムを柔軟に変えてもらうしかないだろう。各学部の調整に期待したい。
次にキャンパス間の移動距離の解決策としては、オンデマンドを含むオンラインを活用した遠隔式授業の普及が必要だ。アンケート回答の中にも「オンデマンド授業だと、自分の都合のいい時間に受けられるからありがたい」「オンラインで受講が可能になれば他学部で遠い人も受講できると思う」との意見が多く見られた。
コロナ禍ではオンラインでの受講が進んだが、現状では対面に戻っているようだ。ただ、オンデマンド授業であれば、仮に必修科目と受講時間が被っていても、空いている時間に動画を視聴することで受講が可能になる。しかし、ある学部の教務課職員は「オンデマンド形式は授業準備に時間と手間がかかってしまう」と教員の負担増を懸念する。そこは、学生のためにも対応してほしい。
最後に履修登録方法の問題だが、各学部のポータルサイトを経由して申請する方法を提案したい。アンケートの回答の中にも「気軽に登録でできるようにしてほしい」「もっと簡単な手続きで履修登録したい」などハードル解消への要望が目立った。
(臼井幸佑)
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