レスリング・全日本選抜 永井初V

決勝で果敢に攻め込む永井(右)
和青・藤田が準優勝
レスリングの全日本選抜選手権が5月21日から24日まで東京都世田谷区の駒沢オリンピック公園総合運動場体育館で行われ、男子フリースタイル57㌔級で永井陸斗(スポーツ科3=埼玉・花咲徳栄高)が初の栄冠を勝ち取った。また、同97㌔級のリボウィッツ和青(同1=東京・自由ケ丘学園高)と同125㌔級の藤田宝星(同2=埼玉・花咲徳栄高)が準優勝、同79㌔級の吉田アリヤ(同2=東京・帝京高)は3位となった。
そのほか、同86㌔級の石黒隼士(2022年スポーツ科卒=自衛隊体育学校)と同97㌔級の吉田アラシ(26年同卒=三恵海運)が優勝を飾った。
(文・写真=外﨑 功)


男子フリースタイル57㌔級に出場した永井は、初戦の準々決勝を3―0で勝利し高田勇(日体大4)との準決勝へ。前半約30秒に相手をコントロールしてから肩を回転させ計4ポイントを先制する。さらに試合時間残り約40秒から相手の攻撃をカウンターし、背後に回り込んで2ポイントを追加。7―2で勝ち上がり決勝へと駒を進めた。
決勝は弓矢健人(イーライフグループ)と対戦。前半は開始約2分に相手の背後に回り2ポイント獲得する。両者一歩も譲らない展開で前半を2―3で折り返した。後半開始直後には、相手のタックルから足を取られ不利な体勢に。そこから相手の足をすくったカウンター技で2ポイント奪い逆転。拮抗した戦いが続く中、大きく動いたのは試合時間残り1分45秒。相手が永井を場外に押し込もうとしたところに合わせ、後方へ見事に反り投げて4ポイントを奪取する。試合終盤のビッグポイントで流れを一気につかみ、フルタイムの末13―4で初優勝を飾った。
世界選手権代表の座を懸けたプレーオフは、昨年の全日本選手権王者・小川大和(日体大2)と対戦した。試合開始直後にタックルされて足を取られるも、持ちこたえて相手をコントロール。そのままアンクルホールド(両足首を抱えてローリングする技)を3回決めて一挙8得点。しかし、徐々に得点を重ねられ大逆転を許す。8―9で悔しくも代表権を逃した。
同97㌔級のリボウィッツ和青の決勝は吉田アラシとの対決に。前半に和青がタックルを仕掛けるも、アラシがかわしてそのまま和青をコントロール。続けてローリング技も決められ4点リードされる。その後もアラシにペースを握られ前半を0―7で終える。後半も流れは変わらず、5分33秒にテクニカルスペリオリティ(10点差がついた時点で試合終了)でアラシに軍配が上がった。
同125㌔級の決勝に挑んだ藤田。昨年の全日本選手権で敗れている山本泰輝(自衛隊体育学校)と対戦した。試合は開始10秒も経たずにタックルから足を取られる。背後に回られコントロールされると、一気にローリング技を決められテクニカルスペリオリティ負け。試合開始29秒のスピード決着で初優勝を逃した。

試練乗り越え栄冠に
〇…試合終了を告げるブザーが鳴った。マット上には優勝を決めたもののどこか落ち着いた様子の永井。普段から感情をあまり表に出さないため、心の中で安堵と喜びをかみ締めていたのだろう。
高校3年時の国体以来、3年ぶりにタイトルを獲得した今大会。大学に入ってからは膝や肘などの度重なるけがに苦しんだ。激しい練習で自分を追い込むことができず、なかなか結果を出せない時期が続いた。
今大会も左肩の関節唇を損傷し痛みを感じる状態で試合に臨んでいた。大会前は痛みに耐えながら自身の課題や修正点を重点的に練習。その試練を乗り越えてつかんだ大きな一勝だ。
永井はこれまで全日本クラスの大会での決勝経験がなかった。初の決勝進出に「一つ殻を破った」と成長を実感する。緊張することもなく、相手の狙いを見極めながら練習通りの動きができた。
一方で、大会を通して明確になった課題もある。試合では、相手が仕掛けてきたところをカウンターする後手の展開が多かったこと。また、プレーオフの序盤に8点を獲得し、あと2点取れば勝てる場面から勝ち急いだことだ。焦らない試合展開と自分から攻撃を仕掛ける試合の組み立て方を見直していくという。
将来はオリンピック出場を目指す永井。2028年のロス五輪に出場したい気持ちもあるが、「今の実力では厳しい」と話す。32年のブリスベン五輪では世界で戦う選手になれるよう、幾多の困難も打ち破っていくことだろう。
猛特訓の成果が実る
〇…「まさか自分が決勝まで行けると思わなかった」―。初めて全日本の大会で決勝へ出場した藤田は自らの快進撃をそう振り返る。
準優勝を果たした藤田がこれまでの大会と大きく異なるのはコンディションだ。今大会は心身ともに調子が良く、試合でもキレのある動きができていたと実感。さらに「やってやるぞ」という強い気持ちも今回の結果につながったという。
強い気持ちで挑めたのには理由があった。これまで注力してきたウエートトレーニングだ。今大会の決勝で敗れた山本泰輝とは、昨年12月の全日本選手権でも対戦し完敗。その時自分のパワー不足を痛感した。そこで、父親の知り合いでもある2022年世界選手権王者の成國大志に弟子入りすることに。屈強なレスラーになるため、本格的にトレーニングを始めた。
スクワットでは170㌔を自分の限界が来るまで続けた。何セットも繰り返す練習は、それまで余裕のある回数でしかやったことのない藤田にとって過酷だった。しかし、成國との猛特訓は着実に成果として現れる。出力の仕方や伝え方のコツを修得。練習や試合でも、今までだと相手に押されていた場面で、自分が押せたり踏ん張れたりすることが増えた。
だが、パワーだけでは藤田の目指す上のレベルでは戦えない。スキル面の強化も不可欠だ。「相手にタックルを入られてからの対応が課題」と言い切る。瞬時の状況判断や良いポジショニングができるように練習で取り組んでいくという。
今回も山本に敗れたものの「決して勝てない相手ではない」と断言する藤田。いつか決勝の舞台でガッツポーズができる日まで、不断の努力を積み重ねていくに違いない。







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