卓上の書籍 ~青海原~
照り付ける太陽、どこまでも続く青い海。8月は本格的な夏の到来を感じる季節だ。
今月のテーマは「青海原」。大学生に限らず人は人間関係に悩んだり、先の見えない将来を不安に思ったり、日々押し寄せるさまざまな波にのみ込まれそうになる。そんな私たちの背中をそっと押してくれるような本を期待し、法学部図書館の職員の方にお話を聞いた。
かばんに忍ばす お守りの一冊に

『海からの贈物』 〈新潮文庫刊 605円(税込、文庫本)〉
「それで私はここに、私と同じ線に沿ってものを考えている人たちに対する
感謝と友情を添えて、海から受取ったものを海に返す。」
私がこの本に出合ったのは19歳の頃です。色鮮やかな貝殻の装丁に引かれて手に取りました。今でも書店で原作や新しい版に出合うとつい買い求めてしまいます。「心の持ちよう」に関するヒントが散りばめられており、そっと背中を押してくれる一冊にふさわしいと感じて選びました。
この本の著者は大西洋単独無着陸飛行に最初に成功したリンドバーグ大佐の夫人。著者が40代の中頃に家族から離れ、海辺で休暇を過ごした際に書き留めたものです。著者は浜辺で拾った貝から自分の人生について考えを深めていきます。母や妻として過ごす中で得たもの、取りこぼしているもの、一人になることの大切さなどを一つ一つの貝になぞらえて語っています。
初めて読んだ当時の私は結婚して子供がいる女性の話についていけませんでした。しかし年を重ね、何度か読み返すうちに共感が深まっていきました。そして著者と今の自分の考え方がとても似ていることに気付いていきます。無意識のうちにこの本が私の考え方の軸になっていったのだと感じます。
「今日の波が昨日の跡のすべてを洗い去る」。生きていく中には日々いろいろなことが起こり、時には悩んだりすることもある。でもそれは自然なことであり最後には全部流されていく。そんな意味がこの1文に込められていると思います。
この本は薄くて、かばんに忍ばせやすいので、私にとってお守りのような存在です。皆さんにもそのような本にぜひ出合ってほしいと思います。
あらすじ
この本は著者が自らの経歴を一切捨て、1人の女性として、主婦として、自分自身を相手に問い続けた人生に関する対話。ほら貝、つめた貝、日の出貝など海辺の小さな芸術品に託して、現代に生きる人間なら誰もが直面しなければならない、いくつかの重要な問題が語られている。
法学部 図書館事務課職員 司書







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