本紙単独就任直前インタビュー ~次期理事長、林真理子氏~ 「新生日大」は学生参加で 強みは「人脈」と「人間力」

特集・企画

2022.6.27 01:44

作家で初の女性理事長として本学に新風をもたらすことが期待される一方、経営経験がないなどの不安も指摘される林真理子氏。本紙は就任直前の林氏に単独インタビューし、改革への意気込みと学生への熱いメッセージを聞いた。
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規模を生かす

次期理事長候補者としての抱負をお願いします。
学生、教職員、外部有識者ら50~60人で構成する「新生委員会(仮称)」を立ち上げ、新しい日大の構築について話し合い、学生の考えや要望を聞いていきたいと考えています。
私たち大学職員の仕事はいわば学生に対するサービス業。学生と生徒の幸せ、願いをかなえることが大学運営において最も重要だと考え「学生ファースト」の実現を約束します。
また、日大は「世界大学ランキング」に入れるだけの規模と歴史、人材を持ち合わせていると確信しています。学部間交流を深め、学生が十分な教養を身に付けるための「日大教養主義」なるものを掲げて、世界有数のこの規模を生かしていきたいです。
本学のトップを引き受ける決意をした経緯を教えてください。
「理事長候補に」と日大関係者から声をかけられたのはことしの4月末。候補の1人として「学生、教職員を中心とした組織運営」と「お金の流れの徹底的な精査」を選考委員会の前で訴え「失墜した大学のイメージ回復を行う」ことを表明しました。
動機は愛校心と「新しいことに挑戦したい」という気持ちです。偏差値などでは測れない多様な学生がいる日大のおおらかさが好きで、「自分の経験を母校に返したい、後輩に嫌な思いをさせたくない」その一心で引き受けました。

イメージ回復を 資金の流れ精査

具体的な改革は7月1日の就任以降に決定していくと思いますが、まずは何から着手しますか。
先ほど述べたように「世間からのイメージ回復」が急務です。就任後すぐに弁護士や公認会計士ら実務経験のある有識者で構成する少数精鋭の「実戦部隊」を作り、日大関係の資金の流れをきれいにし、さまざまな疑念を払拭したいです。そして学生や生徒、卒業生など関係者が誇れる大学にします。

派閥はもうない 対話重視で臨む

第三者委員会から指摘があった「上命下服の組織風土」をどう思いますか。
もう日大にはマスコミで言われているような「田中前理事長派」などいないと思っています。いるとするならば「反林派」でしょう。(田中前理事長に)意見をしてこなかったことは問題ですが、会社に勤める人だったら力あるトップに寄っていくことは当たり前。今は教職員も大学改革に向かっていると信じています。
とはいえ、私が突然現れて好き勝手に改革しても現場からの信頼は勝ち得ません。今いる教職員とともに新しい日大を作るべく16学部、通信教育部、短大や付属校などに実際に足を運び、対話重視で臨んでいきます。
今後の運営主体である新理事会や新評議員会のメンバーの全容はまだ把握していませんが(6月13日現在)、次期理事長として、これまでよりずっと民主的で開かれた会議にするためにイニシアチブを取ります。
組織の透明性を図るため情報を積極的に開示していきますので、学生のみなさんも大学運営の情勢に目を向けてほしいです。

人脈生かす運営 ブレーンは2人

大学や企業での経営経験がないことについて不安視する声があります。
これまで作家として活動して得た「人脈」と「人間力」をフルに使っていきます。
理事長推薦理事2人の枠のうち1人は学校や企業の経営経験がある人、もう1人は日本の大学事情に対して大局的視野に立っている学識経験者に依頼しています。この2人が私のブレーンになる存在です。
また、文化、経済、スポーツ、学術など各分野の第一線で活躍する文化人で構成するボランティア集団「エンジン01(ゼロワン)文化戦略会議」の幹事長を11年間務めて得た人脈を最大限に生かし、学生が興味を持ち、日大の刺激剤になるような人を呼びたいと思います。
私のような経営の新人が大きな組織を動かす上で大切なことは、手を取り合うことだと思います。作家として、人の心を読んだり深く突き詰めたりすることを40年間もやってきたわけですから。対話を大切にして日大という大きな組織に入っていきたいと考えています。

新作は来年以降 理事長職優先に

作家業は今後どうするのですか。
ことし発刊予定だった小説は早くても来年以降に回します。対談などはもう引き受けられません。理事長職を第一優先にします。

学生が原動力

学生へメッセージを。
これまで嫌な思いをさせてきたかと思います。本当に申し訳ない。ただ、改革の原動力は学生です。学生のみなさんが支持し、意見を積極的に出してくれなければ何も始まらない。どうぞよろしくお願いします。

林 真理子(はやし まりこ)
 1954年生まれ。82年エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』を出版。

86年『最終便に間に合えば』『京都まで』で第94回直木賞受賞。

2018年紫綬褒章受章。20年菊池寛賞受賞。

全文は本紙にて