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特集・連載

加藤直人理事長・学長に聞く 「改革」葛藤と困難 「同質性」の払拭が課題に

昨年の田中英寿前理事長の逮捕・辞任以降、理事長職と学長職を兼任して新しい日本大学へ向けた改革を進めてきた加藤直人理事長・学長。6月末の退任を目前に、改革を先導して見えてきた困難さ、7月からの新執行部に期待することなどを聞いた。
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―これまで本学の抜本的ガバナンス改革を先導されてきた今の感想をお聞かせください。
一つ一つ乗り越えなくてはならないことがたくさんありました。記者会見をはじめとして、理事会で先生方の理解をいただいたり、学生・生徒、保護者、教職員からの意見をどう反映していくか検討したりということに注力してきました。
新体制発足まで約半月と迫った今、次期理事長、学長、役員の選定を進め、無事引き継げそうです。
ただ、我々現在の理事は田中前理事長体制下の人間であり、当然、当時起こった不祥事の責任があります。「責任を有する人間がどのように大学改革を進めていくのか」という部分では葛藤がありました。
また、これだけ大きい大学ですから、いろいろな考えを持つ人々にどう納得してもらい改革を進めていくのか、という面に神経を注ぎ、何とか調整してここまでこぎ着けました。
文部科学省からも厳しい言葉を頂きました。元理事による背任という不祥事は前代未聞で、廃校や、いまだかつて大学に出されたことがない「措置命令」の発令を覚悟する状況にありました。
―2018年のアメフット事件から続いた本学の不祥事はどうして止められなかったのでしょうか。
第三者委員会からも指摘があったように、本学の「同質性」が大きな問題点だと思います。
同質性が良い面に働けば、校友とのつながりはとても良いのですが、卒業年度などでヒエラルキーのようなものが形成されると、意見を具申できないという体制に陥ってしまいます。
学長として、教学面においては大きな問題なくやったと思う一方で経営面に関しては認識が甘かったことが私の反省点です。これは今から考えれば大きな問題だったと痛感しています。その当時、業務について精査すべきだったという面で、認識が甘かったです。
田中前理事長在任時の理事会は、報告会のようになっていました。もちろん「審議」という形で諮るわけですが、事前に決まった議案が決定事項のように流れていくという形でした。役員、特に理事がしっかり監視できる体制になかったことは大きな反省点です。
―昨年12月の記者会見で「田中前理事長との永久の決別」を宣言されましたが、その時の心情をお聞かせください。
記者の方々が「何を知りたいのか」ということを念頭に考え「決別宣言」を冒頭に発表しようと考えました。あの時はまだ田中前理事長逮捕から1週間後くらいで「これからどうなるのか」と、恐らく学生の皆さんも感じたことだと思いますけれども、我々役員としては、もう「田中前理事長とは永久に決別し、日本大学を再生していこう」という気持ちで一致し、田中氏が管理運営に関与することはない旨を述べさせていただきました。
―ことし4月に田中前理事長が校友会施設に立ち入るなど「決別」に疑念を抱かざるを得ない行動がありました。
不思議なもので「決別宣言」以来、ほとんど田中前理事長の名が職員の話題にあがることがありません。潮が引くように影響力が消えていくといいますか、とにかく今、田中前理事長の影響力はないように思います。よく「田中派」や「シンパ」という言葉がよく報道で使われますが、そういうものはありません。校友会施設に田中前理事長が来た時も、私は内容証明郵便を出して警告しました。彼がまた影響力を及ぼすような心配は全くありません。
―本学にはびこっている「悪しき風土」は今後解消されていくのでしょうか。
先にお話ししたとおり、今回の大きな問題点は「同質性」という、先輩後輩の関係性による硬直した組織であると思うのですが、それを変えるべく外部から役員を招きましたし、克服するために議論を重ねてきましたので、そういった意味では本学をむしばんできた「悪しき風土」は払拭されつつあるように思います。とはいえ、まだこれから注視していく必要はあります。

新たな「知の共同体」望む

―今後の本学に何を望みますか。
林真理子次期理事長候補者も酒井健夫次期学長も、人物的に大変素晴らしい方々で、とても期待しています。またかつて本学にあった「同質性」というしがらみがないということはとても大きいと思います。新執行部の方々はきっと新たな日本大学をつくってくださるだろうと確信しています。
また、林氏も酒井氏も「教学優先」の旗印を掲げています。大学、付属校なども含めて「教育」「研究」「学生支援」というの三つの大きな柱が優先される形で大学運営がなされると信じています。
―学生や生徒へ向けてメッセージをお願いします。
私は常々、大学というのは「知の共同体」だと思っているのです。先生が研究した一端を学生に教授し、学生も先生の教えを受けて学びを昇華させる、職員はそれをサポートする、ということが一つの組織を形成しているところだと思っています。そういうところに圧力を加えたり活動を制限したりということはなんとしてでも避けなくてはならないと思っています。
学生・生徒の皆さんには「おかしいではないか」「こうすべきじゃないか」ということについては、自分自身が学び、成長していくためにも意見をしっかり発信していくことが大事であるということを伝えたいです。そうしないと大人も考えが新しく切り替わらないと思うので、そこには一切忖度(そんたく)は必要ありませんのでどんどん意見を出していってほしいです。そして、新たな「知の共同体」をつくり上げていってほしいと強く思います。

加藤 直人(かとう なおと)
 1974年本学文理学部史学科卒業。79年本学大学院文学研究科東洋史学専攻博士後期課程満期退学。専攻は東洋史。博士(文学)。2020年第14代学長就任。21年理事長兼任。

 

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