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検証 学生を支える施設と制度 ②学生食堂

値上げや混雑、厳しい昼食事情

 第2回のテーマは「学生食堂」。本学には医・歯を除く14学部に学食があり、昼時には毎日学生たちでにぎわい、長い行列ができる。一般の飲食店に比べ、比較的安価な値段設定が魅力の一つ。しかし、昨今の物価高騰で値上げの波が押し寄せ、混み具合に加えて値段にも不満の声が聞かれる。そこで全14学部の学生課、食堂にアンケートや取材を行い、値段設定や混み具合に絞って徹底調査してみた。 (中道誉悠)

ピーク時は28分待ち!?

 昼休みの混雑具合について本紙記者が実態調査。10月15~17日に法・文理・商・芸術学部の他、理工学部船橋校舎の食堂ファラディホールの五つの学食で昼休みに試みた。まず券売機で食券を購入する列、料理を受け取る列に並び、席に着く。そこまでの時間を計測。結果はファラディを除く学食はおおむね10~15分程度だった。ファラディに至っては28分。昼休みは50分程度しかないため、次の授業への準備や食堂までの移動時間などを考えると、ゆっくり食べる時間は確保できない。学生のための食堂であるのなら、改善の必要性を痛感した。

 アンケート結果によると、この混雑に関して各学部・学食とも課題の一つと認識しているようだ。混雑緩和策としてキッチンカーの導入や弁当の販売など、学食以外で食事を取れるようにしたとの回答が複数あった。この他、決済手段の拡充も講じている。

 具体的には電子決済の導入だ。確かに食券を券売機で購入する際に現金払いだと時間がかかって混雑の一因になりやすい。12学部の学食では交通系ICカードやQR決済などが利用できるが、3学部の学食では現金払いのみだった。ただ、電子決済導入の場合、学部・学食側に新たな負担がかかる。商学部の学生課によると「電子決済は種類ごとに手数料がかかる。費用面から見て複数の電子決済を導入することは難しい」と実情を話してくれた。

 一方で現金決済を止め、完全キャッシュレス化を導入した学食もある。商学部では昨年4月から交通系ICカードのみに切り替えた。現金対応の券売機は釣り銭不足や紙幣が詰まるなどの手間やトラブルが多く発生し、電子決済の需要増に合わせ完全キャッシュレスへの移行を検討。その際、費用面を考えて多くの学生が利用している交通系ICカードでの電子決済に絞った。学生からは「以前に比べて並ぶ時間は短くなった」と好意的な声が聞かれた。

7学食で値上げを実施

 学生からの学食に対する不満には値段もある。本紙9月20日号で学生120人に、学食でメニューを選ぶ際に何を重視しているかを聞いたところ、49%が「値段」と回答。さらに自由記述欄には「値段を下げてほしい」との要望が目立った。しかし、学生の願いとは裏腹に、今年度に入り七つの学食で値上げが実施されていることが分かった。

 5月に営業開始以来初の値上げをした三軒茶屋キャンパスの学食下2食堂によると「お米の値段が昨年に比べて2倍近く高くなった。値段を維持したまま営業することは厳しくなり学校側と協議したうえで値上げした」と厳しい台所事情を語る。しかし、値上げ後も学食事業の採算は取れておらず、オフィスビルでの弁当販売などの他分野でカバーしている状況だという。

 松戸歯学部では昨年夏にそれまで営業していた事業者が撤退し、学食が一時閉鎖。衛生上の課題が直接のきっかけだが、以前から採算は取れていなかったという。その後、今年4月に新たな業者が入るまでは学食がなく、代わりに近隣の店が食堂で弁当を販売していた。また、新たな業者選定も難航し、大学側から補助を出すのが条件だったと学生課の担当者は話している。

全学で学食補助検討を

 学食ごとに値段の差も顕著だ。例えば三軒茶屋キャンパス下2食堂の唐揚げ定食は600円だが、経済学部の学食レザンのチキン南蛮定食は420円。見た目のボリュームには差がないものの180円の差がある。レザンでは使用食材の仕入れ方法の見直しや大量購入、在庫管理の徹底によりコストカットしているというが、値段を各学部・学食のみの営業努力で維持するのには限界がある。校友会や後援会からの支援を受けて学生に割引価格で提供している学食もあるが、対応はまちまちだ。学食に対する補助の在り方について、全学的に考えていくことも必要ではないだろうか。

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