「新しい日大」へ 学生記者からの~提言~
問題の本質捉え改革を
ことし8月に発覚した本学アメリカンフットボール部員による違法薬物事件を契機に、上層部の対応のまずさによるガバナンス不全で問題が拡大した。
今号では、日大再生班として2021年の不祥事から現体制まで取材してきた記者とスポーツ担当記者が新しい日大の実現に向け提言する。
組織風土 改善のカギは「学生」
10月末の第三者委員会による調査報告書や本学が提出した改善計画を読むと、違法薬物事件の対応の原因が本学の「組織風土」にあると指摘している。これは、2021年の旧体制下で起きた一連の不祥事で明らかになった問題と構造が類似している。
21年のときは、第三者委が本学の組織風土を「全体的に組織が同質的で、多様性に乏しく、上命下服の体質が強い」と評し「組織が不適切あるいは極端な方向に向かう危険がある場合でも、これを止める力が働きにくい」背景になり得る、と分析した。これは、今回の改善計画で指摘された「強固なムラ社会の意識」の影響による「秘密主義」「排外主義」的な組織風土と問題の本質はそっくりだ。
現在の林真理子理事長ら新執行部は、旧体制の反省を踏まえ、本学を新しい組織に変革し、組織風土を一新させるために発足したはずだ。それにもかかわらず、再びガバナンス不全やコンプライアンス・危機管理意識の欠如が指摘されたということは、執行部が変わろうと組織の本質は刷新できていなかったということだ。
この根深い組織風土を変えるには学生が積極的に大学運営に関わっていく仕組みが必要だ。
例えば学生の代表が理事会や評議員会に出席して意見を述べる仕組みを構築する。逆に執行部が本部を飛び出し、各学部でタウンミーティングのように学部生と対話をする機会をつくる。学生も本部も対等に話し合いながら意思決定に取り組める仕組みが不可欠だ。
21年も今回も不祥事は閉鎖的な環境下で議論が進み、誤った方向に進んでも誰も問題視できなかった。本学予算の4割強にあたる学費を支払う学生が「主権者」として大学運営を監視し、問題点を指摘することが、本学の組織風土を良好に変えていくに違いない。
競技スポーツ部 管理体制に実効性を
アメフット部員による違法薬物事件が発覚して4カ月。これまでに3人が逮捕、1人が書類送検されたが、事態の終息は全く見えない。
12月1日に行われた部員(8月5日逮捕)の初公判では寮内において十数人による違法薬物の使用や被告自身は高校時代から使用していたと供述した。一競技者としての自覚に欠く行動には疑問と憤りを覚える。真剣に競技に向き合う部員を冒とくした行動だ。
一体なぜ、学生寮で違法薬物はまん延してしまったのか。まず管理体制の問題だ。アメフット部は部単独寮で、コーチ陣が管理者となって、定期的な見回りを行っていたというが、ここまで発覚が遅れたのはずさんな管理体制と言えよう。もう一つは部活における上下関係だ。先輩の誘いを断り切れずに使用してしまった学生もいるだろう。寮内や部内で安心して相談できる環境はあったのか。
ことしは多くの大学スポーツで違法薬物事件が起こり、若者への薬物まん延は社会問題ともいえる。この社会状況を本学はどのように考えるのだろう。全学生を対象に5日からアンケートを開始したが、調査結果をどのように活用するのかはわからない。
競技スポーツ部の改革にも疑問が残る。危険タックル問題で保健体育審議会を廃止し、18年に競技スポーツ部が誕生。今回日本大学競技スポーツセンター(仮称)構想が示されたが、競技スポーツ部と本質的な違いは見えてこない。ただの名称変更にすぎない。
そこで提言だが、学生生活の管理体制に実効性を持たせるべきだ。寮の規模を縮小し管理の目を行き届かせる。一競技部に一つの寮とし、部員の多い競技部は複数寮にする。また、全部員へのドーピング抜き打ち検査も有効だ。
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