よりみち日和　㊲月見湯温泉

京王線下高井戸駅西口を出て徒歩６分。日大通りを進んだ先に「月見湯温泉」は静かにたたずんでいる。昭和の風情が残る瓦ぶき屋根の建物は１９６0年に建てられ、半世紀以上もの間、地域の人々を温めてきた。

月見湯温泉の一番のおすすめは「天然温泉だ」と３代目主人・近藤芳之さん（61）。浴場は定番の富士山のモザイク画を背景に、ジェット風呂、電気風呂、８個の噴射口を備える座風呂を構え、メタケイ酸を含むアルカリ性単純温泉は筋肉痛や関節痛などに効果がある。シャンプーやボディーソープが備え付けてあるのもうれしい。

またサウナも人気で、設定温度は文句なしの男性92度、女性82度。スーパー銭湯にも引けを取らない。さらに水風呂は天然温泉の掛け流しというぜいたくぶりで、「サウナー」の心もしっかり整える。

本学生もひと昔前からお世話になっていた。近藤さんの父である先代の時代には、客の大半が大学生だった。その中には卒業した今でも、常連客として通って来る人も少なくないという。

「月見湯温泉を地域間交流や世代間交流の拠点にしていきたい」と語る近藤さん。客との飲み会やゴルフコンペなどを定期的に企画している。

「学生さんも気軽に来てください」と笑顔で近藤さんは呼びかける。

午後３時半。開店と同時に多くの客が入り、静かだった月見湯温泉は一転してにぎわい出した。さえざえした満月の夜、勉強や部活の疲れを癒やしに立ち寄ってみてはいかがだろうか。