日大生の深層-無関心-
「心の通う」大学運営を
田中英寿元理事長の逮捕、ガバナンス改革、新体制の発足―。本紙はこれまで不祥事後の本学を取材してきた。その渦中で随時学生に意見を求めたが「関心がない」「わからない」という声が多かった。なぜ学生は大学運営に関心を持たないのか。関心を持ってもらうにはどうすればいいのか。日大生の深層を探った。
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林真理子理事長・酒井健夫学長による新体制発足目前のことし6月。本紙は複数学部に出向き「学生の声」を集めた。前代未聞の不祥事、本学再生への胎動、そして新体制のスタートという〝大変事〟に、本学の学生は何を思うのか。それを知りたかった。
学生からは不祥事に対する憤り、新体制への期待感などが聞かれたが、気になったのは予想外の反応だ。「正直、あまりわからない」「個人的に興味がわかない」「そもそも関心がない」といった「無関心」ともいえる声だった。
「規模が大きすぎる」
なぜ、無関心でいられるのか。ある学生はこう話す。
「規模が大きすぎる上に学部が離れているので、自分の大学の問題のように感じられない」
本学は学部生だけでも16学部約6万6千人在籍しているが、学部が各地に点在しているため他学部生と出会うことはない。また、本学の本部機能を担う日大会館に、一学生が足を踏み入れる機会も限定される。
学生にとって日常は、まるで単科大学に通っているようで、日本大学という総合大学としての存在を実感することができず、等閑視してしまいがちだ。
また、学生が自分の身の回りの生活で手一杯となり、大学運営にまで関心が及ばない現実がある。さらに、関心を持ちたくても必要な情報が獲得できない事情もあった。
「知る手段」を増やす
学生が関心を持つためには正確な情報の入手が肝要だ。本学は学生が大学トップ層の動静やガバナンス改革について「知る手段」を設け、それを増やしつつある。
例えば、昨年の不祥事発生時から本学ホームページ(HP)では「ANNOUNCEMENT」欄で、本学再生への取り組みを随時発表しているほか、ことし10月から理事会及び評議員会の議事録要旨を公開するようになった。
また、酒井学長自らが執筆し、月2回程度投稿する「学長ブログ」も9月から始まっている。学生からの意見や感想を届けられるフォームも用意され、投じられた声は学長自身が目を通すだけではなく、関係部署にも送られる。
このように、私たち自身が少し手を伸ばせば、情報を気軽に獲得でき、意見表明もできるようになりつつある。
今こそ運営に関心を
今でも強く心に残っている言葉がある。
「学生・生徒の皆さんには『おかしいではないか』『こうすべきじゃないか』ということについては、自分自身が学び、成長していくためにも意見をしっかり発信していくことが大事」
ことし6月末で理事長兼学長を退任した加藤直人氏は、退任直前の本紙インタビューでこう語っていた。
改革に向かって動き出している今だからこそ、学生として大学の動きに関心を寄せ、意見を持つべきだ。一方の大学トップ層も、進んで学生の声に耳を傾けるような「心の通う」大学運営が当たり前になれば、本学はよりよい大学に生まれ変わることだろう。
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