工 劣化しにくいコンクリート 橋の高耐久化に貢献

学部・大学院

2017.9.27 20:12

 工学部土木工学科のコンクリート工学研究室(岩城一郎教授・子田康弘准教授)が進めてきた高耐久コンクリート橋の研究に関して、このほど土木学会の技術賞と論文賞が同時に授与された。


 技術賞の対象は、産学官連携研究プログラム「東北地域における高耐久RC床版の施工」。同プログラムは大学と国土交通省、施工業者が協力して、東日本大震災で大きな被害を受けた三陸地方に老朽化しにくい橋を建設することを目的に2014年に始まった。この中で、同研究室は高耐久コンクリート製床版の研究開発を担った。
 冬期に凍結防止剤が大量に散布される東北地方では、コンクリート製床版が劣化しやすい。凍結防止剤に含まれる塩の成分が鉄筋をさびさせたり(塩害)、コンクリートの骨材と反応(アルカリシリカ反応)し、コンクリートにひび割れなどを生じさせるためだ。
 同研究室で「ロハスの橋」と呼ばれる実物大の橋のモデルを用いて、こうした劣化を防ぐためにコンクリートに石炭火力発電所などで生じる石炭の燃えかす「フライアッシュ」を加えたところ、塩害やアルカリシリカ反応を劇的に抑える効果があることを突き止めた。
 論文賞の対象は、ことし3月まで博士研究員として同研究室に在籍していた前島拓さん(16年大学院工学研究科博士後期課程修了)の論文「アルカリシリカ反応が道路橋RC床版の耐疲労性に及ぼす影響」。
 前島さんは、コンクリート製床版にアルカリシリカ反応が生じると自動車の繰り返し走行に対する抵抗力(耐疲労性)にどのような影響を与えるかを明らかにし、コンクリートに微小な振動を与えその共震周波数を調べることで、アルカリシリカ反応の進行具合を評価できることを発見した。
 以前は、こうした劣化は目視で診断するしかなかったが、この方法を使えば、客観的な数値により床版の劣化度が分かるようになった。
 岩城教授は「これからも社会に貢献できる成果を出し、コンクリートの劣化具合を診断・治療できるコンクリートドクターの育成を目指したい」と話している。