理工 SPROUT来夏打ち上げ SEEDS2以来の日大衛星 複合膜面展開が任務

学部・大学院

2012.7.17 16:53

 理工学部の宮崎康行教授(航空宇宙工学)の研究室が開発を進めている小型人工衛星「SPROUT」が、早ければ来年6月にも打ち上げられることが決まった。


 実現すれば、2008年のSEEDS2号機以来、2機目の日大衛星が地球を周回することになる。
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が来年夏に陸域観測技術衛星「ALOS―2」を打ち上げる際、「H―ⅡA」ロケットに乗せて同時に打ち上げられる。JAXAはALOS―2に同乗させる小型副衛星を公募。応募した10機のうち4機が採用された。SPROUTのほか東北大学の「RISING―2」、衛生観測装置開発のエイ・イー・エス社の「SOCRATES」などが選ばれた。
 SPROUTは一辺約20センチの立方体で、重さは約6・7キロ。宇宙空間で「複合膜面構造物」を展開するのが任務だ。複合膜面構造物は、2本の管の間に厚さ約12・5マイクロメートルの特殊樹脂製の薄膜を正三角形に広げた帆のような形状。小さく折り畳んでおいて宇宙空間で展開する。SPROUTにはカメラ3台を搭載し、うち2台で構造物の展開の様子を撮影。映像で運動データを分析し、宇宙で構造物の展開や形状の維持ができることを実証する。成功すれば、この技術をソーラーセイルや太陽発電衛星など将来の宇宙機開発に生かせる。
 さらに、宇宙空間にわずかに存在する空気の抵抗が増えると衛星の軌道がどう変わるかについて予測シミュレーションも行う。抵抗を利用して軌道を降下させることができれば、打ち上げから5、6年で大気圏に突入させて衛星を燃え尽きさせることが可能となり、宇宙ごみの減少につながる。
 世界のアマチュア無線家に利用してもらう計画もある。搭載カメラの1台で撮影した写真をSSTVという通信技術を用いて地上に送る。また、地上からの音声、文字データを衛星でいったん録音し、地上に向けて発信する装置を搭載し、アマ無線家同士が交信できる取り組みも行う。
 宮崎教授らが人工衛星研究に着手したのは2000年。初代SEEDSの打ち上げは06年にカザフスタンでロケットが墜落して失敗。08年にインドでSEEDS2号機の打ち上げに初めて成功。同機は現在も運用中。
 現在は、実験機製作の最終工程で電子基板を製作中だ。11月までに実験機が、来年4月にはフライト品が完成の予定だ。
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複合膜面構造物を展開したSPROUT