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特別寄稿  日本大学改善改革推進会議議長  久保利英明

日本大学改善改革会議の到達点と今後の推進会議の取り組み方針

本学アメリカンフットボール部(2023年当時)による違法薬物事件をきっかけに、競技部運営体制やガバナンス体制の抜本的見直しなどの取り組みが始まった。23年11月から一連の改革の先頭に立ち、今年4月からは日本大学改善改革推進会議議長に就任した弁護士の久保利英明氏による特別寄稿を掲載する。

❶第三者委員会報告から現在に至る経緯

 23(令和5)年8月5日、アメリカンフットボール部所属の学生が覚せい剤取締法及び大麻取締法違反の被疑事実で逮捕された。本法人は同月24日の理事会において「アメリカンフットボール部薬物事件対応に係る第三者委員会」の設置を決議し、この件に関する本法人内部の情報伝達、法人としての判断や対応における問題点、その原因や背景の検証を委嘱した。本法人は同年10月30日、同委員会からの調査報告書を受領し、法人内にワーキンググループを設け、改善計画の策定に向け検討を始めた。しかし、同年11月16日の理事会において、本格的に再発防止並びに管理運営体制の再構築を含む改善を検討するために、外部のガバナンス有識者の下で「第三者委員会答申検討会議」に発展的に置き換えることとなり、急遽、私はその議長に任命され、同日就任した。
 同検討会議は同月30日、文部科学省に『「学校法人の管理運営に関する適切な対応及び報告(指導)」に対する本法人の今後の対応及び方針(回答)』を提出した。
 提出した今後の対応及び方針は、林真理子理事長の諮問に基づいて、上記「第三者委員会答申検討会議」が真摯に検討し、再発防止策と法人としての管理運営体制の再構築を含む改善計画の策定並びに関係者の責任の所在の明確化等について取りまとめた。

23年12月の記者会見

 同年12月4日、林理事長、益子俊志スポーツ科学部部長ともに、検討会議議長として、日本大学会館大講堂で会見を開き、同会議の概要や改革案について説明を行い、記者団との質疑応答を行った。会見時間は2時間を超えたが、理事長以下、質疑に対して真摯に対応し、途中打ち切りやヤジなどの混乱もなく、つつがなく終了した。

文部科学省への回答

 本法人は同年11月30日付けの回答に追加する内容を同年12月25日付けで、文部科学省に本法人の今後の対応及び方針を記載した回答書を提出し、ホームページで開示した。回答書に記載した改善改革計画を実行するべく、今後は日本大学改善改革会議(仮称)の助言を受けながら検討を進めることも公表している。

❷改善改革会議の審議経過

 答申検討会議はその役割を終え、24(令和6)年1月に日本大学改善改革会議が発足し、理事会の承認のもと、当職は同会議議長へと異動した。同会議は、開設当初は週一回のペースで開催された。その後は2週間に一度の開催と変更されたが、結局24年度末までで、下記の検討テーマを中心に、毎回2時間を超えて32回開催され、学外理事からも毎回のように卓越した意見が披瀝され充実した審議がなされた。

❸改善改革会議の検討テーマと結論

 Ⅰ.競技スポーツ部の抜本的改革
 Ⅱ.法人ガバナンス体制の抜本的見直し
 ①ガバナンス改革の徹底と業務執行の透明化、②組織風土改革―ムラ社会風土の根絶、③人事関連規程の整備と人事評価制度の改革、④調達や業務委託等のコンプライアンスの徹底、⑤危機管理体制の強化、⑥内部統制システムの導入――等の重要課題を軸として、今回の不祥事の発生現場となった競技スポーツ部の改革と共に、「ムラ社会」と検討会議からも批判された本法人の組織や人事、危機管理体制や内部統制システムの在り方を抜本的に改革することを目指した。
 本法人経営について、ガバナンス体制を支える人事、懲戒制度の再構築が喫緊の課題であり、コンプライアンスの徹底は必須である。特に「ムラ社会」的な学内風土を変革するには全ての関係者が決意も新たに取り組まざるを得ないとの認識を全学が共有した。また、競技スポーツ部で永年にわたり沈着している悪しき慣習を剥ぎ取るには地道で息の長い努力が必要との覚悟で取り組んだ。こうした改革を断行するために、全学挙げて寄附行為の抜本的改正や私学法改正を先取りする組織改編や人事制度にも踏み込むのは当然である。

❹改善改革推進会議への改組

 25(令和7)年4月の理事会決議により、24年度をもって改善改革会議は解散され、25年度からは「日本大学改善改革推進会議」へ進化、発展させることとなった。議長は改善改革会議に引き続き、幅広く国家・企業・非営利法人のガバナンス問題に取り組んできた当職が務めることとして、構成員として本法人の業務執行理事、副学長、コーポレートガバナンス・法務に精通した学外理事、監事の他、教学分野に精通した学外理事、評議員が加わり、理事長・学長の諮問機関としてモニタリング、助言を行う。
 なお、内田学外理事がGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)理事長へ転出することに伴い、若干のメンバー交代がなされた。新規メンバーとして、元県立静岡大学学長の鬼頭理事、元文科省高等教育局長の布村評議員にもご就任いただけることとなった。

❺今後の推進会議の取り組みの展望

 25(令和7)年度からの「日本大学改善改革推進会議」は、従前のガバナンス及び組織風土改革の実行に加えて、本法人の維持・発展に向けた改革案の立案・実行についてのモニタリング、助言を担う後継会議である。
 推進会議はガバナンス、コンプライアンス、組織風土の改革、競技スポーツ管理体制の強化、等々、幅広いテーマの提言・助言・モニタリングを行う使命を果たしていく所存である。
 日本最大規模の本学は「日大が変われば日本が変わる」を合い言葉に、抜本的改革を切れ目なく、推進していく。本学に関わる、全ての役員、教職員、学生、卒業生、保護者各位のご支援、ご鞭撻を切に希望する。

 くぼり ひであき 日比谷パーク法律事務所代表弁護士。プライム上場各社の社外役員、文部科学省学校法人ガバナンス改革会議委員。2025年日本大学改善改革推進会議議長。

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