先生教えて! 浸水被害 後藤浩教授 理工学部(河川工学)
住んでいるまちの地図を開き、被害の想像を
今年8月中旬、千葉県を中心に記録的な大雨となった。総降水量が300ミリを超えた地点もあり、床上浸水も発生した。また、9月にも台風25号による河川の堤防決壊や土砂災害に見舞われた。浸水の被害から私たちが学ぶべき対策とは何か。理工学部まちづくり工学科の後藤浩教授(河川工学)に話を聞いた。
ごとう ひろし 1993年本学理工学部土木工学科卒。95年本学大学院博士前期課程土木工学専攻修了。本学理工学部土木工学科助手、専任講師、准教授、まちづくり工学科准教授を経て、2015年より現職。
Q 千葉県で浸水被害が拡大した理由は。
A 千葉県の沿岸部がそもそも埋立地であること、台地であっても局地的な「くぼみ」があることで浸水が起きました。また、線路の下などをくぐる道路(アンダーパス)にも水がたまります。大きなアンダーパスには排水ポンプが設置されていますが、想定以上の豪雨による雨水の流れ込みやメンテナンス不足によるポンプの故障で水をかき出せませんでした。さらに印旛沼(いんばぬま)周辺の干拓地があったことも被害の一因です。コンクリート製の海岸堤防と違い、川の堤防は土でできています。従って川の堤防は、川の水位が高い状態が長く続くと、堤防の土の中に水が浸透して内部から崩壊する「浸透破壊」が起きます。
Q 行政が行うべき対策は。
A 洪水時に、川へ水を排出できないとなると、雨水を「ためる」か「浸透させる」かの二通りしかありません。例えば横浜市にある日産スタジアムでは、川が氾濫した際に水を敷地内に引き込んでためる仕組みがあります。普段はテニスコートなどがある公園として利用することで土地を有効活用できています。京都府などでは、レインガーデン(雨庭)を造る取り組みもあります。街中にくぼんだ庭(雨庭)をつくり、雨水を土の中に浸透させる仕組みです。こうした身近な工夫を重ねることが大切です。
Q 避難の基準は。
A 洪水が起こると水は泥水状態となり地面が見えなくなります。マンホールのふたが外れていたり、側溝があったりすると、足を踏み外す危険性が高くなります。そのため、くるぶしまで水が来るようであれば遠くに逃げるのではなく、在宅避難の判断をした方がいい。また、「流速」と「水深」の関係をあらかじめ知っておく必要があります。20センチの水深であっても流速が秒速2メートルを超えると大人は転倒した場合、起き上がれません。
Q 学生ができることは。
A DIG(災害図上訓練)という避難訓練があります。住んでいる町の地図を開き、災害の被害を想像するイメージトレーニングです。自分の住む町であれば地形を知っているので、土地の高低差や路面状況、避難所までのルートなど、情報交換をしながら実際に避難できるかを確認できます。







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