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三服文学賞  山田さん大賞を受賞

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実体験からストーリー着想

佐賀県嬉野市にある温泉旅館の和多屋別荘が初めて主宰した「三服文学賞」で、本学の山田教太さん(芸術・文芸2、ペンネーム=平出奔)の『笑っているのがわかる』が応募総数2170作品の中から大賞を受賞した。

同賞は「暮らしのなかで書く時間を愉(たの)しむ」という理念のもとに設立。

「三服」には、温泉で一服、お茶で二服、書店で三服などと嬉野で自分なりの過ごし方を見つけてほしいという思いが込められている。プロアマ、年齢、ジャンルを問わず、同旅館内に店を構える「BOOKS&TEA三服」や嬉野にまつわる温泉、お茶、旅など七つのテーマから作品を募集した。

受賞作品の『笑っているのがわかる』は、主人公の瀬口が同僚の荒山に電車の中で「怖いもの」を尋ねられるシーンから始まる。荒山との会話から「読めない他者の心」が怖いと気づいた瀬口は物語の最後に、突然旅に出ようと誘われ「笑う」。それは「本心で笑っているのか」、「自分の本心を隠すために笑っているのか」問いかけるストーリーになっている。

作品のキーとなった「怖いもの」は、以前山田さんが友人から突然「怖いものってある?」と聞かれた経験から着想。最後の旅に誘われて笑うという展開は、他者の心が読めないことは本質的に変えられないが、「世界にはわからないなりの救いがある」とのメッセージを込めた。

選考委員長で和多屋別荘社長の小原嘉元さんは「文章から感じとれる電車内での会話の間や同僚が怖いという吐露に、いまの時代を生きる人間の確信のない解に揺れ動くさまが鮮やかに表されており、共感しました」と山田さんの作品を大賞に選んだ理由を挙げた。

山田さんは「自分でもすごく良い作品が書けたと思う。大賞受賞者として今後とも執筆活動に励んでいきたい」と意気込みを語った。