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総合

医 被ばくなく内臓脂肪測定  阿部准教授ら共同開発

医学部の阿部百合子准教授(小児科学・医療教育学)と森岡一朗主任教授(小児科学)はこのほど、花王(ヘルス&ウェルネス研究所)と共同で、放射線被ばくを生じることなく、子ども(成人未満)の内臓脂肪面積が測定できる方法を開発した。この研究成果は、ことし7月17日(日本時間)に科学雑誌「Journal of Clinical Medicine」にオンライン掲載された。

測定には成人と同様に子どもにもX線を使用して腹部の断層を撮影する「CT検査」が使われるが、放射線被ばくの問題から頻回の使用はできなかった。そこで、国内で成人の内臓脂肪測定機器として認証されている「内臓脂肪計」に着目。従来、測定の参考となる体内水分量が成人と子どもで異なることから正確な測定ができず子どもに適用されなかったが、阿部准教授らは内臓脂肪計での測定数値とCT検査での測定数値の相関をとり、内臓脂肪計を使用した場合でも正確に測定できる補正式を生み出した。
腹部に微弱の電流を流し、体内の脂肪から生じる電気抵抗により内臓脂肪面積を測定する「腹部生体インピーダンス法」が用いられる内臓脂肪計。補正式を適用し使えば放射線被ばくがなく、短時間で手軽に検査ができ、医療機関での設置コストも低くなるなど多くの負担低減が見込める。

本学医学部付属板橋病院は小児肥満診療に注力していることから、2017年に花王から共同研究の申し出があった。18、19の2年間で、CT検査を要するさまざまな体型の男児25人と女児21人に研究協力を得て数値を測定、集計した。

現在、子どもの肥満は身体的影響だけでなく、いじめや自尊心の低下など精神的にも問題視されており、将来は生活習慣病のリスクも高まりやすい。阿部准教授らは「小児肥満症は社会的な問題。早く改善することが大切」と話しており、開発した補正式を広く活用できる取り組みを進めていくとしている。

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