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新型コロナ 迅速、簡易に検査

新型コロナウイルスによる感染が国内外で拡大を続ける中、本学文理学部の桑原正靖教授(バイオ分析化学)らの共同研究チームはこのほど、感染の有無を迅速かつ簡易に検査できる画期的な検査法の開発に成功した。共同研究チームは大手製薬会社と提携し、早期の検査キットの開発を目指している。現行のPCR検査に加え、日本国内の新型コロナ対策に新たな選択肢を与えるインパクトを秘めた研究成果となる。
「革新的核酸増幅法(SATIC法)」を用いた検査法は、桑原教授と東京医科大の河島尚志・主任教授(小児感染免疫学)らが共同開発し、ことし5月14日に記者発表した。
SATIC法は患者の唾液や喀痰(かくたん)などの検体を採取し25分程度で新型コロナウイルスなどの感染の有無を判定できる。患者自身で唾液を採取できるため検体採取時の感染リスクを減じるだけでなく、高価な専門機器を必要とせず、検体を試薬と混ぜるだけでPCR検査と同等の感度が得られる。目視による判定が可能な高感度検査法はまだ国内外で開発されておらず、世界に先駆けた画期的なものとなる。

迅速かつ高感度な手法
迅速に検査できる理由は三つある。一つ目は新型コロナウイルスのPCR検査に不可欠な逆転写反応(RNAからDNAを作る反応)が不要なこと。二つ目はRNAの精製が不要であることだ。SATIC法では、検体を専用の前処理液と混ぜ95度で約2分間熱を加える。するとウイルスが変性し容易にRNAを取り出すことができる。さらに、熱を加えることでウイルスの感染性をなくし、検査員の安全を確保できる。
三つ目は、PCR検査では遺伝子を増幅(数を増やす)するために異なる三つの温度サイクルを1時間余り繰り返す必要があるが、SATIC法では37度に保って20分から25分で増幅できる点だ。
さらにSATIC法の感度について共同研究グループが検討したところ、新型コロナウイルスの遺伝子数が10コピー程度あれば検出が可能であり、極めて高感度であることが確認された。PCR検査と並行して同じ検体を検査したところ、結果は完全に一致。偽陽性反応などは見られていないという。同検査法はPCR検査と同等の感度を持つことが明らかになった。

特殊な誘導体がカギに
SATIC法では、2014年に桑原教授が独自に開発した「チオフラビンT誘導体」が重要な役割を果たしている。唾液などの検体に新型コロナウイルスのRNAが含まれていれば核酸増幅反応が開始される。するとグアニン四重鎖という特殊な立体構造をとるDNAが試験管内に多数生成され、そこに検査試薬中のチオフラビンT誘導体が結合し、褐色極小粒子の凝集反応が誘発される。
褐色極小粒子は金属とポリマー(高分子化合物)でできており、もともと検査試薬中に均一に広がっている。この極小粒子が凝集して沈殿すると、試薬の色が褐色から透明に鮮やかに変化する。この変化を目視で判定する仕組みだ。
また、ウイルス表面のタンパク質を断片的に検出する抗原検査では変異体の検出は難しいが、SATIC法は遺伝子がわずかに変化したウイルスの変異体も検出できるため、新たなパンデミックを引き起こす変異体出現に対応することも可能となる。

早期の実用化を目指す
すでに製薬大手の塩野義製薬株式会社とSATIC法の使用におけるライセンス契約を結んでおり、検査キットの早期の開発を目指している。
実用化されれば検査数が格段に増加し、国内の感染者動向を即時に把握することも可能となる。これに合わせて医療体制を計画的に確保すれば医療関係者の負担を軽減し、医療崩壊を防ぐことが可能だ。
また、大規模なイベントなどにこの迅速検査法を導入できれば、新たな入場基準などを設け集団感染を防止することができるなど、今後の経済活動や医療体制整備への貢献は絶大だ。
桑原教授は「新たな検査法が新型コロナ問題と向き合う上で新しい解決策となり、人々の心の余裕につながるといい」と話している。

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