文理 嶋田准教授が学術奨励賞 独自触媒で第一級アミド合成
低負荷の医農薬品製造に
文理学部化学科の嶋田修之准教授(有機合成化学)の研究グループはこのほど、独自に開発したジボロン酸無水物触媒(DBAA触媒)を用いて、入手容易なヒドロキシカルボン酸とアンモニア水溶液から第一級アミドを合成することに成功した。
今後、環境負荷の低い医・農薬品製造につながると期待される。嶋田准教授はこの功績が認められ、6月13日にUBE学術振興財団から第63回学術奨励賞を授与された。
第一級アミドは、多くの医薬品や農薬の化学構造中に含まれる重要な部分構造であり、効率的で環境調和性の高い合成手法の開発が望まれてきた。
一般的な合成手法は、大量の廃棄物を副生する等量以上の「試薬」を用いるため、資源効率の低い化学合成だった。一方、化学反応後に再生する「触媒」を用いた合成手法は、廃棄物を出すことなく、医・農薬品産業に有用な第一級アミドを合成できる、理想的な方法とされていた。
しかし、従来の触媒では水が混入すると反応が進行せず、第一級アミドを合成するために必要なアンモニア水を使用できなかった。
その反面、嶋田准教授が独自に開発したDBAA触媒は、それまで蓄積してきた実験結果から、水が混入していても反応を促進させることができると判明していた。
そこで、DBAA触媒による合成手法でアンモニア水を用いた結果、第一級アミドを合成することに成功した。また、同手法で得られた第一級アミドから生理活性物質を合成できることが分かり、同研究で開発した第一級アミドの合成手法が有用であることを実証できた。
嶋田准教授は「独自に開発したDBAA触媒の新たな触媒機能を発見し、(嶋田准教授の)研究室の一期生に成功体験をしてもらえたことがうれしい。今後は市販化を視野に入れ、より容易に合成することができ、より高活性な第二世代触媒の開発に向けて研究を推進したい」と熱く語った。
実験中の嶋田准教授(左)と学生たち
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