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生物資源科  シナモンが糖尿病を改善  関教授らがメカニズム解明

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トップ100論文に選出

生物資源科学部の関泰一郎教授・細野崇准教授・増沢依助教ら(栄養生理化学)の研究グループが発表した、シナモンの抗糖尿病作用のメカニズムの一端を解明した論文がこのほど、被引用回数が世界で6番目の学術誌「Scientific Reports」の「トップ100論文」(細胞・分子生物部門で第3位)に選出された。

世界の糖尿病人口は2021年に5億3700万人に達しており、有効な対策を打ち出せないと、45年までに7億8300万人に増加すると予測されている。今回の研究は糖尿病治療に貢献できると期待され、世界でも注目を集めている。

健康なマウスは「GLUT4」と糖の輸送体が血液中の糖を細胞内に取り込み、血糖値を正常に保つ。糖尿病モデルマウスの場合「ACSL1」という酵素が健康なマウスより多いことを関教授らは発見し、GLUT4を抑制していることを突き止めた。

今回の研究でシナモンはACSL1の量を正常に戻す働きをするため、GLUT4が正常に働き、血糖値を下げる機能を持つことが分かった。

古くからシナモンは漢方やスパイスとして使われ、最近では糖尿病を改善する効果があることが知られていたが、そのメカニズムの解明には至っていなかった。

関教授らは、細胞内の数千以上に及ぶ全てのタンパク質を分離・分析する方法を用いて、網羅的に解析。シナモンを与えた細胞と与えない細胞で変化するタンパク質を調べた結果、見つかったのがACSL1だった。

ACSL1が血糖値の調整に関わっていることが解明されたことで、今後は新薬開発に役立つことも期待されている。
関教授は「二型糖尿病における血糖値調節機構のさらなる解明や、サプリメントへの応用にも寄与できれば」と話している。

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