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生産工 低出力でコンクリート切断  工事現場で低騒音実験へ  永井教授らが世界初

生産工学部の永井香織教授(材料施工学)と建設機械器具レンタル会社の株式会社カナモト、FA(工場の自動化)機器提案会社の株式会社伊東商会の共同開発グループがこのほど、出力1㌔㍗のレーザー光で200㍉㍍のコンクリートスラブ厚の切断に世界で初めて成功した。低出力によるコンクリート切断技術の実用化は、建設現場での騒音や振動の問題解決につながる革新的な技術として注目される。

建物の解体や改修などで必要なコンクリート切断技術はこれまで、スチールワイヤーに切削用のダイヤモンドを数珠状に通して高速回転させる「ワイヤーソーイング工法」や、切断面に沿ってレールを敷き、ダイヤモンドのブレード(刃)で高精度に切断する「ウォールソーイング工法」が一般的だが、振動や騒音が大きく、住宅地等での工事が問題となっていた。

このため、1980年代から低騒音・低振動のレーザー光によるコンクリート切断の研究が始まった。2000年以降は、技術革新によりファイバーを用いたファイバーレーザーが普及し、研究が進んだ。
ただ、200㍉㍍のコンクリートを切断するには約10㌔㍗と高出力が必要なため、レーザー照射機器が大型になり建設現場で搬送しづらかった。

そこで永井教授は「現地で使える大きさのレーザー照射機器」の開発に乗り出し、ドイツのレーザー研究所で学んだ最先端技術をコンクリート切断に応用し「ドリカット工法」を考案した。

レーザー照射で発生する、ガラス化した鉱物の鉱滓(こうさい)「ドロス」を減らすことで、出力を1㌔㍗に抑えて200㍉㍍のコンクリートの切断に成功。低出力のため、現場に持ち込めるコンパクトな大きさを実現した。

永井教授は「病院や学校の改修など、近隣に人がいる場所でも騒音を立てることなく利用できる」とこの実験成功によるインパクトの大きさを語る。

現在「ドリカット工法」は特許を出願中。新たな開発パートナー企業が見つかれば、すぐさま試験施工に取り組み、3年後の実用化を目指す意向。「コンクリートの切断だけでなく石材や無機パネルなどにも応用でき、新たなビジネスチャンスにつながる」と話した。

ドリカット工法の実証実験を行ったレーザー機

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