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生物資源科 特殊な古細菌を純粋培養 中川教授ら国内初の快挙 世界で6例目の成功

生物資源科学部の中川達功(たつのり)教授(微生物生態学)の環境微生物学研究室はこのほど、米ワシントン大、製品評価技術基盤機構と共同で「アンモニア酸化アーキア(AOA)」と呼ばれる特殊な微生物の純粋培養に日本で初めて成功した。世界では6例目の成功となる。
AOAは古細菌の一種で、植物が光合成を通じて二酸化炭素(CO넶)を吸収するように、アンモニアをエネルギー源としてCO넶を吸収することが知られている。ただ、生態を詳しく研究する上で不可欠な純粋培養が難しく、16年前に米国の研究者が初めて成功して以来、世界中の研究者がAOA純粋培養に挑戦してきた。
AOAを濃縮して効率的に二酸化炭素を吸収させることができれば、地球規模の課題であるCO넶削減に大きく寄与できる可能性がある。AOAの純粋培養は、その生態を詳しく研究する上で不可欠のステップとなる。
AOAは、2005年にワシントン大のスタール教授がシアトルの水族館で、その一種を発見したことによって初めてその存在が世界で知られた。中川教授はその翌年にAOA研究に着手。学生と下田臨海実験所(静岡県下田市)でサンプリングを行い、海草のアマモが生育する海砂から新種とみられるAOAを発見した。
その後3年かけ20回の培養を繰り返した結果、60%までは集積できたが、目的外微生物を完全には取り除けず研究は停滞していた。
中川教授は12年にスタール教授の元に1年間留学。そこでの経験を生かし、培地を工夫するなどの試行錯誤の末、21年8月ようやく純粋培養に成功した。
中川教授は「今後はAOAを濃縮して効率的にCO넶を吸収させる研究を進め、地球温暖化の阻止に積極的に貢献したい」と話している。

AOAの純粋培養に成功した中川教授(後列左)と、研究を引き継いだ学生

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