生物資源科 新種トウガラシ開発 「しげまるレッド」と命名

学部・大学院

2021.7.20 13:21

生物資源科学部の野村和成名誉教授(遺伝育種学)らの研究チームが長年かけて開発したトウガラシ「しげまるレッド」が、昨年2月に新品種として正式登録され、現在、特許取得の手続きが進められている。
同学部のキャラクター「しげまる」の名を冠した「しげまるレッド」は高品質で収量性が高い上、トウガラシ加工の際のネックとなってきた「ヘタの取りやすさ」が劇的に改善された品種で、機械収穫による国産トウガラシの大量生産の切り札として期待されている。
果実の長さは約6㌢。果実は房状に着生するため一度に大量の収穫が期待できる。
研究の端緒は、2009年に国内のトウガラシ専門メーカーから寄せられた「ヘタを簡単にもげる品種はできないか」との問い合わせだった。
トウガラシを粉末に加工するにはヘタを取り除く工程が不可欠だ。しかしトウガラシのヘタは容易には外せず、加工品に混じってしまうと色が黒っぽくなる。メーカーは、この工程を人手をかけずに処理できる方法を求めていた。
野村名誉教授は同学部の立石亮教授(園芸学)、同学部付属農場の技術職員・岩永崇氏らと共同で、「栃木三鷹(とちぎさんたか)」と「pequin(ピキン)」の2種のトウガラシの掛けあわせによる品種改良に着手した。
栃木三鷹は辛みが強く、香り豊かで鮮やかな赤色が特徴で一つの茎に何本も実がなる。ピキンはオレンジ色でエスニック風の香りがあり、何より、ヘタが簡単にもげる。
双方の良い点だけを取り出すために最初の2年間は交雑を行い、その後「戻し交雑」の作業を3度繰り返し、さらに「固定」作業に4年を費やした。延べ9年の歳月をかけてようやく新品種にたどり着いた。
トウガラシは乾燥させてから手作業でヘタを取り除く必要がある。野村教授らの品種開発には多くの学生が栽培や収穫などの作業で関わった。当初は学生1人が1時間でトウガラシ(1本約0・5㌘)からヘタを取り外せる量は約300㌘だった。これが「しげまるレッド」だと600㌘に倍増した。
さらに、ヘタが容易に取れるようになったことで、機械で一度に収穫することが期待できるようになった。
立石教授は「農業従事者が減少しても、機械化が進めば少ない人数や工程で栽培できる。この点で革新的な品種改良となった」と振り返る。
立石教授らは現在、収穫用の機械を民間企業と共同で開発中だ。さらに、全てのトウガラシの実を同時期に成熟させるにはいつ種をまいたらよいのかなどの研究を継続中だ。