自転車・全日本大学対抗 男子総合5連覇
松岡、初インカレV 「やったったぞ!!」
自転車の全日本大学対抗選手権トラックが8月29日から31日まで千葉市のTIPSTAR DOME CHIBAで、ロードが9月6、7日にみなかみ町の群馬サイクルスポーツセンターで開催された。本学勢はトラックで全9種目のうち4種目で優勝し、7種目で表彰台に上がった。総合では97点で5連覇を達成した。
男子1㌔タイムトライアルの山下翔太郎(文理2=石川・内灘高)と同スプリントの松岡勇斗(スポーツ科2=愛媛・松山学院高)が初の栄冠を勝ち取った。山下と松岡は町田颯(同4=栃木・作新学院高)と出場した同チームスプリントも制し、2年生コンビが2冠の活躍を見せた。
また、同タンデムスプリントでは井上凌玖(同4=岐阜一高)・鶴見健二(経済3=東京・総合工科高)組が予選で12秒644の学連新記録と大会新記録を樹立。勢いそのままに優勝を飾った。
(文=外﨑功 写真=外﨑、中道誉悠)
初優勝を飾りこぶしを突き上げる松岡
トラックで本学勢は大会初日から順調な滑り出しを見せた。男子1㌔タイムトライアルでは、7月の全日本学生個人選手権を制した山下が自己ベストを更新する1分3秒167。2位に町田が入り、本学勢でワンツーフィニッシュを果たした。
同タンデムスプリント予選では、井上・鶴見組が昨年の井上・町田組が更新した学連・大会記録をさらに0秒064上回る12秒644で新記録を樹立した。最終日の決勝では明大と対戦。1本目は残り1周半で先に仕掛けられたが、相手の伸びがなく勝利。2本目は1本目の反省を生かし、先に仕掛ける。そのまま難なく逃げ切り優勝を勝ち取った。
2日目の同チームスプリントは町田・松岡・山下組が出走。予選を2位に0秒16差で1位通過し中大との決勝へ。レース前に山下に持病の腰痛が発症するなどトラブルもあり決勝ではタイムを落としたものの、46秒28で優勝。同種目で本学勢が3連覇に輝いた。
最終日の同スプリントに出場した松岡は、大会2日前にへんとう炎を発症し万全ではない状態で今大会に挑んだ。予選を5位で通過。しかし、決勝は相手を寄せ付けない圧倒的なスピードで2本を先取し、見事に初インカレで個人種目初優勝を飾った。
チームスプリントに出場した松岡、町田、山下(手前から)
観客とハイタッチを交わす松岡
初の栄冠を勝ち取った山下
ウイニングランで歓声に応える鶴見(左)と井上
ロード総合は連覇逃す
阿部源が本学勢最高の5位
ロードでは本学から8人が出走した。序盤から逃げ集団とその他の大集団に分かれレースが展開。1年の時に同大会で優勝を果たした阿部源(スポーツ科3=愛媛・松山学院高)は後半まで大集団で温存する作戦を立てた。
しかし、前を走っていた逃げ集団がレース中盤に崩れてしまう。他大の選手をマークしながらの展開になり疲労が蓄積した。先頭集団は最後まで混戦状態でスプリント勝負に。阿部は惜しくも競り負け、僅差で5位となった。
鍛錬の成果出る 松岡勇斗
○…男子スプリント決勝。観客席に向かって力強くこぶしを突き上げた。「シルバーコレクター」と言われた松岡が、ゴールドメダルを獲得した勝者の表明だった。
自転車競技を始めたのは中学2年生の頃。自転車で速く走るかっこよさに憧れた。しかし、今まで大きな大会で個人タイトルを取ったことがなかった。それゆえに初めてのインカレで手にした初優勝に、周りからの祝福の声も大きかった。
そんな松岡に強くなるきっかけを与えたのが、昨年5月に出場したジャパントラックカップだ。海外選手と対峙し圧倒的なパワーの差を痛感。どれだけテクニックがあっても、パワーがないと歯が立たないことを思い知らされた。
「オフシーズンはめちゃくちゃ練習をやり込んだ」と振り返る松岡。パワーを鍛えるべくウエートトレーニングと食事管理に注力した。オフシーズンにバーベルスクワットを始めた時は100㌔を10回あげられるかどうか。シーズン終盤には145㌔を10回あげるまでに成長。食事管理も独学で勉強し、たんぱく質や脂質、炭水化物のバランスを意識した。
オフシーズンの鍛錬は今大会で十二分に発揮された。強みであるトップスピードに乗せるまでの速さとその持続はより強化され、他の選手を一切寄せ付けない圧巻の走りとして結実した。164㌢という決して大きくない体でも勝利できることを証明した。
今回鍛え上げたパワーは強みとはいえ、まだ発展途上だ。卓越した走りにつながった松岡のトップスピードでさえ、日本のプロ選手や海外選手と比べると引けを取る。世界レベルの選手を相手に勝てる日が来るまで、粉骨砕身の覚悟で臨んでいく。
腰痛と向き合う 山下翔太郎
○…男子1㌔タイムトライアルで1分3秒台の自己ベストを更新し、昨年の雪辱を果たした山下。「自己ベストを出して勝てたのは自信につながった」と振り返る。
今年に入ってから、学業との両立もあり満足のいく練習ができていなかった山下。自転車競技を愛してやまない彼にとって苦しい時間を過ごした。夏休みになると常に自転車のことに集中できるように、実走練習にも参加し少しずつ調子を取り戻していった。
今大会に向けてフロントのギアを2段階上げたことが、自己ベストを更新できた要因だ。ギアを上げることでペダルを1回踏んだ時に進む距離が長くなる。そのため、脚がきつくなった後半でも前に進める利点があった。
しかし、ギアを上げたことによる負担が体に襲いかかった。重いギア比を使う分、かかる負担は大きくなり大会期間中も持病の腰痛を発症した。
重いギア比に耐えられる体づくりは不可欠だ。昨年よりもウエートトレーニングの頻度を増やし、重いギア比を克服できる体を徐々につくっていくしかない。けがとの向き合い方も模索中だ。将来目指している競輪選手は今まで以上に故障の危険と背中合わせだろう。「自分の体のことをもっと知らないといけない」と冷静に自分を見つめている。
高校2年のインターハイで8位に入賞。これを機に全国で戦える自覚が芽生えた。高3の同大会では初の全国優勝を経験。今では常に優勝を争える選手だ。今大会で自己ベストを更新したが、「目指すは1分2秒台」と言い切る。現状に満足せずに自分との闘いを続け、さらなる高みへ突き進む。







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