生物資源科 ウイルス抵抗力の謎解明 感染に強いキュウリ
大学院生物資源科学研究科の中村友紀さん(生産科学専攻博士後期課程3年)がウイルス感染に強いキュウリの抵抗力が生み出されるメカニズムを解明、このほど2021年度日本植物病理学会関東部会の学生優秀発表賞を受賞した。ウイルスに感染しにくい品種開発に役立つ成果という。
中村さんはまず36品種のキュウリについて、ウリ科作物に被害をもたらすことで知られる植物ウイルス「ズッキーニ黄斑モザイクウイルス」が感染するかどうかを調査。感染がはっきりと観察された品種一つと、感染がなかった品種一つを選び、両品種に共通する遺伝子の塩基配列を調べた。すると感染しなかった品種の2カ所に変異が見つかった。
中村さんはこの領域が感染の有無を左右しているのではないかと考え、さらに感染パターンの違いを調べた。すると、感染がない品種は一つの細胞が感染しても隣の細胞にウイルスが広がらないことを突き止めた。中村さんは、変異遺伝子が隣の細胞にウイルスを移さない「細胞間移行阻害」という抵抗性を持ったとの仮説にたどり着き、遺伝子レベルの検証を行って仮説を証明した。
中村さんは「植物ウイルス抵抗性の考え方を他の植物でも検証してみたい」と話している。
学生優秀発表賞を受賞した中村さん(中央)と研究メンバー
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