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法廷雑観 求められる「真の反省」

「事件を起こしたことについては申し訳ないが、自分でもなぜこうなったのかよく理解できない。残念に思っています」―。初公判の2月15日、東京地裁第104号法廷で裁判長から社会的責任を問われたときの本学前理事長・田中英寿被告の言葉だ。
事件発覚以来、初めて公の場に現れた同被告。黒い背広に本学のスクールカラー「緋色」のネクタイを締め、ピンクのポケットチーフを胸元にさした姿で、どっしりと座りうつむいていた。
人定質問などの冒頭手続きに淡々と応じ、罪状認否では「争う気はありません」と言い切ったが、被告人質問では責任の自覚の程度をめぐり、検察官が何度も質問を繰り返す場面があった。
検事が「日本最大級の大学の理事長という、社会的立場のある人間が事件を起こしたことの責任」について問いただすと、同被告は「充分反省している。多方面に影響を及ぼした」と手短に応じた。重ねて検察は「教職員や学生について(言うことはないか)」と言葉を継ぐが同被告は「もう理事長でないので特にないです」とにべもない回答。さらに検察は「かつて理事長だった者としては」と追及したが、同被告は「大学の発展を願うばかり」と言葉を濁し、最後まで教職員や学生への率直な謝罪の言葉はなかった。
3月7日に同法廷で行われた第2回公判。同被告は初公判同様背中を丸めていたが、検察の論告が始まると様子が変わった。
検察が被告の罪を「身勝手で利欲的」と糾弾すると、被告は目をまばたかせ検察を見上げた。さらに検察が「反省の弁は述べていたが真の反省については疑問」と述べると被告は眉をしかめた。
結審後、同被告は意見陳述で「えー、繰り返しになりますけれども。世間を騒がせてしまって申し訳ないと思っています。日大の学生、父兄に無用な不安を抱かせ深く反省しています。今後の発展を深く願っています」と述べた。
初公判では聞くことがかなわなかった同被告からの学生に対する初めての謝罪。淡々と紡がれるその言葉から「真の反省」が裁判官に通じたかは、同月29日の判決でわかるだろう。

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