テニス・全日本大学対抗王座 創部初男子団体2連覇
高がMVP
テニスの全日本大学対抗王座決定試合が10月22日から27日まで、松山市の愛媛県総合運動公園テニスコートで行われ、本学男子が初の団体2連覇を果たした。最優秀選手(MVP)には高悠亜(スポーツ科4=岡山・関西高)が選ばれた。
(文・写真=小杉妃、宮野翔大)
果敢にサーブで攻める高
今大会は各地域の予選を勝ち上がった男女各10校が、トーナメント方式で戦う団体戦。男子はシングルス6戦、ダブルス3戦の計9戦で勝敗を決める。本学男子は9月に行われた関東大学リーグ(1部)で3位の筑波大と勝敗、勝率ともに並んだが、直接対戦で勝利していたため、関東第2代表として王座への切符を手にした。
24日に行われた東北学院大(東北代表)との2回戦はシングルス、ダブルス共に一戦も落とさずに、9勝0敗と完勝。
雨天のため2日間にわたり行われた準決勝は近大(関西第2代表)と対戦。25日はダブルスで3連勝し好調なスタートを切ったが、シングルスでは木村一翔(スポーツ科1=岡山・関西高)、岡部悠希(経済4=日大三高)共にセットカウント0―2で敗れてしまう。しかし、山田矢音(スポーツ科3=東京・東海大菅生高)はセットカウント2―0で巻き返し、26日は高が大沼広季(3)に安定したプレーでストレート勝ち。5勝2敗で決勝進出を決めた。
決勝の相手は関東大学リーグで敗れた早大(関東第1代表)。26日にはダブルスが行われ、小泉熙毅(通信教育部4=埼玉・浦和麗明高)・山田ペアが勝利するも、丹下颯希(文理4=愛媛・新田高)・高畑里樹(同3=兵庫・相生学院高)ペアが敗れ1勝1敗に。次の高・木村ペアは3セット目にもつれ込む接戦となったが、木村のベースラインぎりぎりに入るボールが相手のミスを誘いセットカウント2―1で勝ち抜いた。
27日に行われたシングルスでは山田が1セット目を先取するも2、3セット目を落とし敗れる。しかし木村、高、丹下が連続してセットカウント2―0と圧勝。続く岡部も2セット目にゲームカウント1―6と追い込まれるも3セット目に強烈なサーブで果敢に攻め、セットカウント2―1で勝ち取った。小泉は1セット目で2ゲームリードされる場面もあったが、相手を前後に揺さぶる攻撃でセットカウント2―0。試合を制した。結果、7勝2敗で本学初の王座2連覇を達成した。
山田眞幹(まさもと)監督は「学生達が目標に向かって頑張ってくれたのが、初の2連覇につながった。来年は新チームとなるが、2連覇の経験を生かし3連覇を目指す」と来年への意気込みを語った。
決勝スコア表
勝負所で勝つ力
優勝の喜びを体で表す高
〇…26日に行われた準決勝のシングルス4試合目。勝てば決勝進出が決まる重要な一戦は高に任された。山田監督は「高なら勝つから」と絶大な信頼を置いていた。その言葉通り、セットカウント2―0と圧勝。チームを決勝へと導いた。
高は今年、10以上の国際大会に出場。フィジカルに優れた海外選手と対戦する中で、これまでのスライス中心の攻撃だけでは勝てないことに気づいた。そのため、バックハンドでも安定して攻められるように打ち込みを強化。
ポジションも従来より後ろに定位置を取ることで、相手の攻撃にも余裕をもって対応できる。甘いボールにはすぐに前へ踏み込める動きを身に付けた。サーブでは重心が前にいかないように意識し練習に励んだ。
海外選手対策をすることで、日本人選手との試合では余裕を持ってプレーをできるようになった。準決勝の近大戦。「何を打っても入る」と感じるほどの手応えを得た。今大会で高はシングルス、ダブルス共に全勝。堂々の最優秀選手に選出された。
ダブルスのペアは関西高校の後輩でもある木村。「とにかく楽しもう」という共通のスタンスを大切にしながら試合に挑んだ。決勝の早大戦。フルセットの末、タイブレークで28ゲーム目までもつれ込む接戦となったが「相手の一本では終わらせない」と粘り強く打ち返し、勝利を手繰り寄せた。
シングルスでは、チームの勝敗を左右するシングルス3試合目を任される場面が多かった。「勝たなければいけない状況だったからこそ、フォアやサーブで自分の形を出せた」と振り返る。
高は卒業後、プロのテニスプレーヤーとして国際大会を起点に活動していく。世界の主戦場で高を見られる日は、そう遠くないだろう。
地元で凱旋勝利
両手打ちカウンターで攻める丹下
〇…勝利が決まると、丹下はかぶっていた帽子を投げ、雄たけびをあげた。
主将として、本学初の王座連覇はなんとしてでも達成したかった。昨年はシングルス・ダブルス共に勝利し20年ぶりの優勝に貢献。全日本学生室内選手権では初優勝を果たした。そんな丹下が率いる本学だったが、王座連覇に向けた予選リーグではまさかの2連敗でスタート。決勝の切符はつかんだものの関東2位での通過となった。
「けがに相次ぐ体調不良者。万全な状態ではなかったから予選リーグは仕方がない」。気持ちを切り替え、本戦は完全なメンバーで愛媛入りした。
愛媛県出身の丹下にとっては凱旋(がいせん)試合とも言える舞台。ダブルスのペアは昨年の王座でも組んだ高畑だ。「試合を盛り上げる高畑を生かせるプレーをしたい」と意識。決勝の早大戦は熱戦を繰り広げるも惜しくも敗退。「勝ちを意識しすぎてプレーが固くなってしまった」と悔しさが残る中、気を取り直して舞台をシングルスに移した。
「これ以上は負けるわけにはいかない。なんとしても圧勝してやる」。そう自分を鼓舞した気持ちがボールに乗り移り、圧倒するスコアで勝利。応援してもらった仲間に向け、拳を高々と突き上げた。
優勝が決まると丹下は「今まで成し遂げたことのない2連覇を達成できたのはうれしい気持ちでいっぱい。主将として、地元愛媛で日本一になれたのもよかった」とほっとした表情で話した。
丹下は卒業後、愛媛県の伊予銀行でテニスを続ける。「自分たちらしくやれば結果もついてくる。やるべきことをやってほしい」。3連覇を目指していく後輩たちに向けてバトンを託した。







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