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工 「ものづくり」の場で新たな交流

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古民家をリノベーション

工学部生で構成する学生団体「Archi Nest Fukushima(アーキネストフクシマ)」によるDIYワークショップが、2月13日から15日に、福島県玉川村のアートコミュニティスペースZASSOUで開かれた。

同団体は「ものづくりをものがたりへ」をテーマにしながら、学生主体で空き家などをリノベーションしている。作業には施主、地域の人も参加。ものづくりの楽しさを知るきっかけや地域交流などの場を創出している。13日のDIYワークショップに密着取材した。

JR水郡線泉郷駅からタクシーで15分ほどの山深い集落にたたずむ古民家がその日の現場。空き家を玉川村地域おこし協力隊員の鈴木愛子さんが取得し、現在は子ども向けのアート教室などを開いている。

取材当日は学生団体から6人、外部の学生5人、施主の鈴木さんの計12人で作業を実施した。
その日の作業メニューは古民家の玄関付近のいろりの修繕と、キッチンだった場所にウォークインクローゼットの新設。それぞれ2~3人ずつの班に分かれて作業を始め、いろりの修繕班は外縁部分の修理に取り掛かった。

いろりが設置されている古民家の玄関は和室だったが、昨年夏にリノベーションして土間に様変わり。修繕を行ういろりはもともと掘りごたつだったもので、コンクリート製の外縁部分は老朽化が目立っていた。

参加者は、始めにいろりを細かく採寸した後、外壁部分を合板で覆った。次に外縁部分に支えのための枠を組むと、鶴槙優馬さん(建築2)が欠損した部分にぴったりの木材を切り出し、はめ込むことでカバーした。

一方、ウォークインクローゼット班は、基礎部分、壁の支えとなる「間柱」を設置に取り掛かった。その後大きな合板を用いて壁を設置した。参加者はビス打ちや金具の取り付けなどを手伝い、経験が少なく戸惑う人には学生団体代表の高坂玲音さん(同4)が丁寧に指導。優しくコツを教え、失敗してもリカバリーを欠かさなかった。

すると、参加者の緊張感も次第にほぐれ、順調に作業が進んだ。参加者間の会話も活発になり、高坂さんへ積極的に助言を求める場面も増えた。

福島県内が地元で現在神奈川県にある鶴見大2年生の松本龍樹さんは「一部分が変わっただけなのに、景色が一変したように見えるのがすごい」と興奮気味に語った。松本さんは昨年夏、同所で行われたワークショップにも参加。自分が手掛けたリノベーションのその後をSNSで見守っていた。

松本さんのような「繰り返しの参加」もワークショップ実施の重要な目的のひとつ。学生団体代表の高坂さんは「リノベーションの魅力を知ってもらうとともに、その場所に愛着をもってもらえるような取り組みにしたい」と今後について語った。

「ものづくりをものがたりへ」―。あるメンバーは「個人のやりたいことを結びつけて活動しているだけ」と話していたが、彼らの活動はリノベーションの場を通して多様な人と人とを交流させ、新たなつながりをもたらしていた。これからも多くの「ものがたり」が生み出されることを願いたい。

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