先生教えて! 災害流言 中森道広教授
災害時には情報の出どころを見極めること
なかもり ひろみち 1994年本学大学院文学研究科社会学専攻博士後期課程満期退学。都市防災研究所研究員などを経て、97年本学文理学部社会学科助手。2008年より現職。
今年は東日本大震災の発生から15年。昨年も各地で地震や異常気象が頻発し、多くの被災者が出た。災害時に困るのは誤情報や偽情報による投稿だ。人々の不安をあおるような情報はさらなる混乱につながる危険もある。私たちは災害情報にどう対処すべきか。「災害流言」について文理学部社会学科の中森広道教授(災害社会学)に話を聞いた。
Q 災害流言とは。
A 災害に関して人から人へ伝わる真偽のはっきりしない非公式な情報のことです。一般にはデマという言葉が使われていますが、デマは間違ったことと知りながら意図的に広げる情報のことで、流言は意図的ではなく広まるものです。最近注目されているフェイクニュースはデマの一つととらえてよいでしょう。流言が広まる原因としては、まず、災害に対する人々の共通した不安が挙げられます。次に情報ニーズが満たされない状況が挙げられます。欲しい情報が得られないために、人々の勝手な思い込みや偏見などから流言が生まれ、広まっていくのです。
Q 災害流言は止められますか。
A 難しいと思います。東日本大震災や能登半島地震では、窃盗団の流言が広まりました。これは、避難のため自宅を留守にしていることによる不安と、自宅や地域の状況に関する情報の不足が背景にあると考えられます。また、このような流言は悪意から広まるものではなく、耳にした情報の真偽を人に尋ねて確認しようとか、人に話をして不安を軽減しようとか、「みんなにも伝えてあげなくては」という善意からも広まることがあります。SNSなどで誰もが情報を受発信できるようになった今だからこそ、一呼吸おいて情報を見定めることが重要だと思います。
Q 情報をどう見定めますか。
A 「何月何日に地震が来る」などの災害流言はパターン化されています。日にちを特定した地震予知はできないということを踏まえて情報を見定めなければなりません。「外国人の窃盗団がやってくる」という話もパターン化された流言です。パターン化された災害流言があること、そして、情報の出どころを確認した上で情報を評価することも大切なことです。
Q 私たちにできることは。
A 防災用品を整えることと同じように、災害流言の事例を確認して流言を見極める準備を日頃からしておくことが重要だと思います。そして、災害時、真偽不明の情報は広めないように心がけ、流言は積極的に打ち消すことが求められます。さらに、誰もが容易に情報発信できるようになっている現在、各自が情報の扱いに責任を持つことも大切です。







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