通信教育部 学生・学修支援センター ~役割と展望~
現在18歳から87歳まで、全国各地から約7400人の学生が学ぶ本学通信教育部。今年2月に同部の「学修支援センター」が「学生・学修支援センター」として新生した。同支援センターの職員に取材を行い、役割や今後の展望などをまとめた。
学生の相談を受ける職員
支援センターの役割
同支援センターは市ケ谷校舎1号館の1階に対面の窓口をかまえ、入学、教務、学生課の職員6人と専任コーディネーター2人の計8人で運営している。
修学上の合理的配慮を行う学生支援と履修相談などを行う学修支援の窓口を一本化するため、旧「学修支援センター」に職員を増員し、今年2月に「学生・学修支援センター」としてリニューアルした。
学修方法や目的が異なる同部の学生一人一人の悩みをきめ細やかなサポートで解消する。基本は予約制だが、飛び込みでの窓口相談も可。メールやオンラインでの相談にも対応しており、地方在住の学生が孤立しないような配慮がされている。
学修面でのサポート
学生からの主な相談は履修登録に関するものが多い。同部では、学業以外の活動と両立できるように個々の状況に応じた学修計画が可能だ。
しかし、その分学修方法の選択が複雑で難しい。旧来の通信学修だけでなく、通学課程同様15週にわたって開講される昼間・夜間スクーリングや、どこでも受講可能なメディア授業、5日間のオンデマンド授業を受講の上、週末2日間キャンパスに通う東京・地方スクーリングなど、数パターンの学修スタイルを開講時期ごとに自分自身で選択し、リポート作成や受講申し込みをしなければならない。
自分に合ったスタイルはどれなのか、学修計画に間違いはないかなど、学期始めの4、5月や9、10月は相談件数も増え、メールでの相談は1日80件以上にものぼる。同支援センターでは入学時にライブガイダンスを開いたり、学生が繰り返し見られる資料を用意したりするなど、さまざまな方法で支援。
そのほか就職支援や資格取得の相談など手厚いサポート体制が組まれている。
生活面でのサポート
同支援センターには社会福祉士・精神保健福祉士の資格を有したコーディネーターが常駐し、学修・学生生活において支援が必要な入学生を通学課程と遜色なく学べるようにサポートを行っている。
相談しにきた学生には、雑談を交えながら学生のペースに合わせて問題解決を行う。また、本人の了承のもと関係各所と連携・情報を共有し、いつでも対応できるようにフォロー。学生が学びやすい環境をつくれるように、経過を見守りながら、地道なアプローチを重ねている。
実際に、同部教室内の入り口付近には他の机より大きい車いすの学生用の机が置かれている。また、教室には指定席と紙が張られている机も。同じ座席でないと落ち着かない学生のために、コーディネーターが授業を担当する教員と連携を取り、座席位置まで手配している。
課題と今後の展望
文部科学省の2024年度学校基本調査によると、高校生の11人に1人が通信制を選択しているという。年々通信制を選ぶ学生数が増加しているとともに、学生の悩みや生活スタイルは多様化している。
同支援センター職員の願いは卒業生を増やしていくことだ。「学生自身が社会に出ることで『働きながら学び直す』というリカレント教育の存在を広めるきっかけになる」と期待を込めて話す。
そのためにも、まずは在学中に起業する学生や留学希望学生など、一人一人の目標や生活スタイルに合わせて学修し卒業できる仕組みを強化する必要がある。この場所が学生にとって一番身近な「拠(よ)り所」になるように、これからも学生の不安や悩みを安心へ導いていく。
取材=荘田 節







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