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特集・連載

先生教えて 森林環境税

今年6月から新たな税金が導入された。名前は森林環境税。ネットでは増税に対する批判の声も多いが、一体どんな税金なのか。
生物資源科学部森林学科の杉浦克明教授(森林社会科学)に話を聞いた。

税金の先にある問題に目を向けて

Q 森林環境税とは。
A 今年6月から国税として、納税義務者から一人当たり年に1000円を徴収しています。この税金は、森林の多面的機能を発揮させるために必要な財源を確保する観点から創設されました。森林の多面的機能とは二酸化炭素の吸収といった地球環境保全機能や土砂崩れなどを防ぐ土砂災害防止機能や、森の散策などの保健・レクリエーション機能なども含まれます。このように私たちの暮らしを支える大切な機能を発揮させるための税金なのです。

Q この税金は具体的にどのような用途に使われるのか。
A 例えば森林整備で「森林経営管理制度」に基づく間伐などが行われます。この制度は、手入れの行き届いていない森林を市町村が仲介役となり所有者と担い手をつなぐ仕組みです。林業に適している場所はきちんと活用し、適さない場所は公的に管理する。これによって、放置される森林をなくすのです。他には林業従事者の確保や育成、公共建築物への木材利用、森林保全の普及啓発があります。これらの用途は、現在注目されていない日本の森林について知ってもらう活動です。日本の国土の67%は森林ですが、日本の林業や森林を取り巻く状況はあまり知られていません。
 
Q 日本の森林の課題は。
A 森林の多くで所有者や土地の境界が不明な状態になり、管理ができていない場所が多く存在します。また、林業の担い手が不足し、手入れも十分にできていない状況です。特に日本は人工林が多いので手を入れて管理しないと、荒れてしまいます。必要に応じて行政の関与が必要なのですが、山村地域の市町村では財政的に厳しいのが現実です。
 
Q 私たち学生にできることは。
A FSCマークのある製品を買うことだと思います。このマークは持続可能な森林管理をしている山から木材を伐採し生産した製品に付けられます。直接林業に携わることは難しいですが、マークが付いた製品を選んで買うことで森林環境に貢献できると思います。大切なのは、今ある課題を知り、行動すること。まずは、日本の森林に関心をもってみてください。

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すぎうら かつあき
2006年本学大学院生物資源科学研究科修了。11年本学生物資源科学部森林資源科学科助教、17年同学科専任講師、19年同学科准教授、24年より現職。

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