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よりみち日和 ㉟太子堂八幡神社

東急田園都市線三軒茶屋駅の三茶パティオ口から歩くこと約10分。住宅街を縫うように進むと、太子堂八幡神社の鳥居が待ち構えている。

神社の創建は平安時代の終わりごろ。陸奥(東北地方の一部)の豪族、安倍氏の征伐(前九年の役)のため北上していた源頼義・義家親子が神社の西側に位置する古道「鎌倉道」の道すがら、戦勝を祈願して休憩をしたとの伝承がある。このことから、1051年より前に建立されたといわれる。

当初は土地を開拓した先祖を祭っていたが、源氏の興隆とともにその氏神である八幡神の信仰が拡大し、16世紀末に八幡宮の名称が使われ始めた。御祭神は誉田別尊(ほむたわけのみこと)(応神天皇)。縁結び、安産、家内安全など、さまざまな願いに応えるとされるが、中でも厄よけの御利益が強いという。

地元では「幸せウサギがいる神社」として知られ、ことしの干支でもあるウサギが3匹飼育されている。約10年前、境内の八幡広場に捨てられていたウサギを「ピータン」と名付けて飼い始めたことがきっかけだ。その後、参拝者から持ち込まれたウサギとの間に生まれた子どもたちが代々飼育されてきた。

太子堂八幡神社は15の年間祭事・行事があり、神前成人式や神前結婚式なども行われる。また、ラジオ体操を毎朝開催するなど、地元の人々にとっての憩いの場として親しまれている。

御神木の巨樹、クスノキは樹齢約500年。幹周り4㍍を超える御神木を中心に敷地面積4500平方㍍の境内に数百本の樹木が生い茂り、住宅街に緑豊かな癒やしの空間を生み出している。宮司の畑中一彦さん(75)は「元気のない人は元気に、元気な人はもっと元気になれる場所だ」と朗らかに笑みを浮かべた。

一年の始め、清らかな境内の空気を感じながら、ことしの干支に癒やされてみてはいかがだろうか。

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