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特集・連載

学生から静かな叫び<1>「9月病」

寄り添い、理解形成を

「9月に入り、眠れなくなった。生活リズムが崩れ、頭痛や倦怠感(けんたいかん)も出てきた」(M・S 法・新聞1)
「夏休みが明けてから頭痛がする」(T・W 生物資源科・生物環境工1)
長い夏休みが終わり、学校が始まるころに心身に不調をきたす「9月病」。環境の変化に伴うストレスが学生生活をむしばんでいる。

本学本部で学生や職員を対象に悩みや不安の相談対応を行う「日本大学学生支援センター」。そこで働く道又襟子コーディネーター(臨床心理士)は「8月下旬から9月上旬は相談申し込みが殺到する。金曜日は予約が埋まるほど」と相談状況を語る。主な相談は「学校に行くことが辛い」「履修や授業が不安」など学生生活を送るうえでの悩みが多い。道又さんは1人で思い詰めず、定期的に相談に来てくれるように促す。思わぬことがふさぎ込むきっかけとなり、誰にも相談できずに〝最悪の事態〟を招く危険もある。

本紙は10月上旬に日大生35人にアンケート調査を実施。22・9%の学生が「9月になり、倦怠感や身体の不調を感じたことがあった」と回答した。主な症状は、4割が「不眠」と「倦怠感」、1割が「ストレスを感じやすくなった」ことと「腹痛」だった。2割強の学生が日常生活になんらかの支障をきたしている。

睡眠不足の改善を

そもそも「9月病」とは何か―。本学医学部で精神医学系主任を務める鈴木正泰教授(精神医学)に医学的な見解を聞いた。「9月病」とは「正式な医学用語ではないが、季節の変わり目である9月に生じる心身の不調の総称」だという。急激な気候の変化のほか、「睡眠不足」の関与が推測されるという。夏休みは生活習慣が乱れやすく、深夜まで起きて陽が昇るころに寝る「夜型」の生活になりがちだ。鈴木教授は「授業時間に合わせて夜型から朝型に移行するには1週間程度かかる。無理な生活の変更が体調不良の原因となりやすい」と説明する。

では、心身に不調を感じた場合、病院のどの診療科にかかればいいのか。鈴木教授によると睡眠の問題やこころの不調を感じた場合は「心療内科や精神科へ」の受診を勧めている。また、学校や行政の支援窓口を介して受診する方法もある。さらに規則正しい生活を継続することも効果的だ。

だが、相談や受診に抵抗感がある人も少なくないだろう。近年は支援機関への相談者や受診者も増加傾向にあり、「気軽に立ち寄ってほしい」と鈴木教授は話す。

心の弱さは無関係

もし友人や知人が「9月病」にかかったらどうするのか。相談者の話を聞いているうちに、聞く側も悩んでしまったり、よかれと思った言葉で返って傷つけてしまうこともある。まずは相談者の気持ちや病状を理解し、安心できる環境をつくることが先決だ。くれぐれも注意したいのは「気にしすぎだよ」「気の持ちようだ」などの言葉をかけて、相手を傷つけてしまうこと。説得させようとするのではなく、相手への理解を示し、尊重する気持ちを忘れてはならない。

ストレスにさらされて体調を崩すことはよくある。「決して本人の責任や心の弱さが原因ではない」と鈴木教授は強調する。誰にでもかかる可能性のある「9月病」。適切な対応が周知され、そして何よりも周囲の理解が進むことが大切だ。

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 学生生活を送る中で心身が傷つく事態に見舞われることもある。コロナ禍が影響し、学生を取り巻く環境は激変。誰にも相談できずに1人で悩みを抱え込んでしまいがちだ。そんな学生たちの「静かな叫び」に寄り添い、対処法を探っていく。

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