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競泳代表選考会 本学勢2人パリの舞台へ

競泳の国際大会代表選手選考会が3月17日から24日まで江東区の東京アクアティクスセンターで行われ、寺門弦輝(スポーツ科4=千葉・昭和学院高)が男子200㍍バタフライで1位となりパリ五輪の代表権を獲得、初の五輪出場を決めた。同800㍍フリーリレーでは柳本幸之介(スポーツ科3=付属豊山高)が同代表権を獲得し、五輪2大会連続の出場を決めた。

寺門が本多抜き勝利 2大会連続で柳本も内定

 寺門は同200㍍バタフライの予選を1分57秒53の3位、準決勝を1分56秒15の3位で通過。

 迎えた決勝。3レーンの寺門は、最初の50㍍を25秒28の3位でタッチターン。続く100㍍地点では、54秒48で4位に後退したものの、150㍍地点では先頭の本多灯(2024年スポーツ科卒=イトマン東京)に1秒9差に迫る1分24秒08で2位に浮上した。

 ラスト50㍍では本多に食らいつく泳ぎを見せ、頭ひとつ差まで接近。会場から歓声が湧き上がる中、ゴール付近で寺門は驚異的な泳ぎを見せ、1分54秒07で見事本多を抜きトップでゴール。パリ五輪代表権は寺門のほか本多も2大会連続で獲得した。

 レース後、涙を流しながら寺門は「ようやく自分の水泳ができたと心の底から思えた。パリ五輪では自分のペースを守って臨みたい」と意気込みを語った。

 同200㍍自由形に出場した柳本は予選を1分48秒72の5位、準決勝を1分47秒63の1位で通過。

 決勝では100㍍地点を51秒53の3位で折り返し、続く150㍍地点も1分19秒20で3位。最後はギアを上げて1位に1秒55差の1分46秒84で2位フィニッシュ。その結果、同800㍍フリーリレーの代表に選ばれた。

 また、同200㍍個人メドレーに出場した小方颯(スポーツ科3=付属日大高)は1分57秒52の2位。派遣標準記録にわずか0・01秒届かなかった。
 

 持ち味で世界へ

 今年2月の世界選手権で日本人初の金メダル(バタフライ)に輝いた本多を抜いて、トップでパリ五輪切符をつかんだ。そんな快進撃を繰り広げた寺門の決勝前のメンタルはプレッシャーで押しつぶれそうだった。

 準決勝を3位で泳ぎ切り、翌日の決勝を控えて緊張はピークに達していた。朝早く目が覚め、その後は全く眠れない。パリ五輪代表権獲得を前に、この状態ではいい泳ぎはできないと半分諦めて決勝に臨んだ。

 捨て身の寺門は一計を案じ、レースプランを変更したのだ。従来は100~150㍍で勝負をかけてきたが、今回は150㍍までは勝負に出ず、ラスト50㍍に乾坤一擲の泳ぎを見せる策だ。

 勝負の当日。その作戦を心に秘め静かにスタート台に立つと、不思議と余裕をもってレースに向き合えたという。

 最初の50㍍は3位。100㍍は4位で折り返した。そして最後の50㍍へのタッチターン。本多に1秒09差の2位に浮上し、勝負のシフトチェンジに出た。これまで溜めていたエネルギーを一気に噴射。凄まじい泳ぎで抜き去った。

 ゴールにトップでタッチした瞬間「全てから解放され、今までの感情がむき出しになった」と寺門。抗えない緊張が解け快い達成感から涙が頬をつたった。これまでアドバイスをもらった憧れの先輩の上に立てた歓喜。しかし、寺門にとって窮余の作戦が奏功した結果ではない。むしろ「ようやく自分らしい泳ぎができた」と振り返った。

 鮮やかな大逆転でパリへの道を開いた寺門。初の五輪でも「自分らしいレースをして、いい形でインタビューに応えたい」と笑顔だ。3月に卒業した本多に代わる本学のバタフライのトップスイマーとして、これからは「追われる身」となる。

 緊張を成長の糧にできることを悟り「世界のテラカド」としてどこまで伸びていけるのか。パリに照準を当てた本多との勝負も、第2ステージに入っていく。
 
 

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