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スポーツ

いざ復活 秋季リーグ戦注目の部

 秋にはさまざまな部でリーグ戦が始まる。中でも日本一から17年遠ざかっているアメリカンフットボール部、昨年2部落ちした野球部、ラグビー部は、復活に期待がかかる。「低迷」している各部の現状はどうか。名門復活のキーマンとなる選手を紹介する。

<アメフット 「剛毅果断」の精神力を養う>
 アメリカンフットボール部フェニックスは、過去アメフット関係者に「常勝軍団」と言わしめた伝統のある部。それだけに「不死鳥の復活」を待ち望んでいるファンは多い。これまでのところ、期待された関東大学リーグ戦で3年連続の3位。だが、今の4年生には、1年生からスターターを務めてきた実力と経験を併せ持つ選手がそろっており、17シーズンぶりの日本一に期待がかかる。
 春のオープン戦は、6戦全勝。「秋の関東大学リーグ戦に向けていろいろな選手を起用した」と内田正人監督は話す。矢野秀俊(文理1=東京・日大三高)ら多くのルーキーも出場し、活躍した。「新入生にいい素材がいる。チームの競争意識は高い」と高橋宏明ヘッドコーチ。チームの底上げは順調に進んでいる。
日本一のため
 今季のスローガンは「剛毅(ごうき)果断」。精神力の強化に励む。加えて「私生活から日本一を考えて行動し、個人能力も強化しなければ」とコーチ陣は語る。
 鍵は「得点できる攻撃力」。QBの木村幸二朗(同4=東京・足立学園高)の活躍に浮沈が懸かりそうだ。3年生からエースナンバー10を背負う。正確なパスなども評価され、司令塔に定着した。パス主体に攻撃する「日大ショットガン」がうまく機能するには、木村の力が不可欠だ。
 木村が攻めのキーマンなら、守備の要はDEの鈴木修平主将(同=東京・付属櫻丘高)だ。「流れを変えるプレーができる」と中川浩志コーチ。春のオープン戦では、スクリーンパスを2度もインターセプトするという大技をやってのけた。「主将としてもチームの精神的な柱にならなくては…」と内田監督やコーチ陣は期待する。
 攻守のリーダーがフィールドで大暴れすれば、不死鳥軍団は日本一へと飛び立つだろう。
 関東大学リーグ戦 9月8日(土)~11月24日(日)まで 東京・アミノバイタルフィールドなど
「自分次第」エースの自覚
 ○…背番号10はフェニックスのQBエースナンバー。この番号をつける木村は「昨年は、プレッシャーばかり感じていた」と振り返る。名門の復活への期待が高まるほどエースにかかる重圧も大きくなる。「勝たなければという気持ちばかりが前に出過ぎた」。その結果、けがをし、悔しさだけが残った。
 須永恭通コーチがフルタイムのコーチに就任したのは木村が2年生のとき。「今の自分があるのは須永さんのおかげ」。日本一も経験しプロ経験もある須永コーチの存在は大きかった。練習に緊張感が増し、明確な指示を得られるようにもなった。
 2年生の関東大学リーグ戦からは、正確なパスが須永コーチに評価され、スターターに定着、真のエースとなった。だが、昨秋の早大戦では負傷し途中退場を余儀なくされた。
 新体制となって再び「日本一」を目指す練習が始まった。QBには3人の新入生が加わり、スターター争いも激しくなった。だが「今年のチームは自分次第」とエースの自覚は忘れない。「チームを引っ張る4年生にミスは許されない。レシーバーに信頼されるQBになる」が目標だ。ミスをしたときに弱気になる癖を克服し、チームの雰囲気が悪いときは自分が流れを変える覚悟だ。「ショットガンフォーメーションで攻撃する以上、パスは生命線」。丁寧なパスを武器にチームを引っ張る。
 「今年こそ3年間の借りを返して日本一に」。エース木村がチームを鼓舞し、フェニックスが新たな伝説を作るときがきた。
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木村幸二郎(文理4=東京・足立学園高)
チームのために妥協の余地なし
 ○…全勝でオープン戦を終えたのに鈴木は何か物足りなさを感じていた。「結果的には勝ったが、気持ちの面で勝てたのだろうか…」
 鈴木は1年次からチームの“鉄壁”として活躍。「ディフェンスが課題」といわれてきたフェニックスを3年間支えてきた。だが、チームは連続の3位。「練習などへの取り組みが甘かった」と振り返る。
 4年目の今季、監督やコーチは「人一倍の責任感」を買い、主将に抜てき。「少し驚いたが、4年生になったらチームのために仕事をする覚悟はあった」と話す。
 個人的には「昨シーズンより体重が増えたことで、1対1が強くなった」とフィジカル面でのレベルアップを実感している。だがそれで満足するわけにはいかない。「もっと体重を増やして、速く動けるようにならないと」。スターターに下級生が多いディフェンス陣を引っ張り、日本一へ導くには、妥協の余地はない。
 「昨年と今年と、メンバーに変化がない。同じ結果になる確率も高い」。「万年3位などごめんだ」という危機感が「主将として強い意志を持たなければ」と言わせる。
 「どんな相手でもスピード、パワーで圧倒し、絶対的な強さを見せる」。日本一に向け、学生最後の戦いが始まる。
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鈴木修平(文理4=東京・付属櫻丘高)

<ラグビー セットプレーの精度磨く>
 昨年11月、ラグビー部ハリケーンズは部内の不祥事により、関東大学1部リーグ戦出場を辞退、2部に降格した。
 失意のシーズンを終えたハリケーンズは5月からオープン戦に臨んだが、結果は4勝3敗。昨年2部リーグ3位の専大、2位の埼工大にも敗れた。福田奨主将(商4=神奈川・付属日大高)は「80分間走り切る力がなかった」と基礎体力の欠如を敗因に挙げた。夏は実践練習に加え、基礎となる走力も徹底的に強化する。福田も「チームを引っ張り、1部昇格を目指す」と気合十分。
 1部復帰への課題について重田勇夫監督は「体力とラインアウトなどのセットプレー」を挙げる。「セットプレーの精度を上げるにはFW全員の力が必要。ナンバー8の森慶太(文理2=奈良・天理高)の活躍は不可欠」と話す。森は高校時代、U19代表に選ばれフランカーとして活躍した。現在はナンバー8として試合に出場。下半身がしっかりしている森ならばディフェンスにとどまらず、ゲインラインを突破しトライにつなげることも可能だ。森が活躍すれば、チームが浮上の手掛りを得られるはずだ。
 関東大学2部リーグ戦 9月23日(日)~11月25日(日)まで 東京・日本大学稲木総合グラウンドなど
「貢献したい」負けん気十分
 ○…昨年、不動のナンバー8のサムエラ・マフィレオ(同3=トンガ・トゥポ高)が負傷。今年のオープン戦から「残るメンバーの中で唯一ナンバー8をこなせる」森が起用されるようになった。「フランカーに比べてボールを持つことが多い。ボールをキープして攻撃につなげたい」と意気込む。
 そんな森を重田監督は「コンバートの可能性もある」と示唆、スクラムの鍵となるフッカーでの起用も視野に入れている。
 森は「福田主将ら4年生がチームを引っ張ってくれている。ポジションに関係なくフッカーでもナンバー8でも、チームに貢献したい」と闘志を燃やす。オープン戦では鋭いタックルを連発し、ディフェンスで活躍した。「オープン戦で外国人選手と対戦し、体格や力の差を感じたが、当たり負けしたくない」と負けん気は十分。夏からの合宿でさらに磨きをかけていく。
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森慶太(文理2=奈良・天理高)

<野球 主力投手をけがで欠く>
 野球部は、昨年の秋季リーグで入れ替え戦に敗れ、19シーズンぶりに2部に降格した。春季2部リーグでは7勝6敗1分の4位に終わり、1シーズンでの昇格はならなかった。
 開幕前、186センチの上背から投じる140キロ台の直球と制球力を兼ね備えた篠田純平(経済4=群馬・前橋商高)ら主力投手が、相次いでけがに見舞われた。このため春季は、服部大輔(同3=京都・平安高)が1人で連投する場面が見られた。内村英二郎コーチは「春は投手層が薄くなってしまった」と声を落とした。
 一方、期待されながら活躍できなかった篠田だが、終ってみれば自責点ゼロ。「1部復帰をかけた秋季の鍵は篠田」と内村コーチも強調する。万全でない中、篠田が「エース格」の片りんを示せたことが、チームにとって一筋の光明となっている。
 東都大学秋季2部リーグ戦 9月3日(月)~10月23日(火)まで 東京・神宮第二球場
期待の左腕を万全の状態で
 ○…1部復帰の鍵を握る篠田は、ひじを痛め春のリーグ戦では4試合にしか登板できず、期待を裏切ってしまった。チームにとっても大きな誤算だった。
 しかし、篠田への期待ももっともだと思わせるデータがある。春のリーグ戦では、対戦した打者65人を被安打率1割3分8厘と圧倒した。万全でない状態での登板にもかかわらず、対戦した打者は、ほとんど直球しか投げられない篠田の球を前に飛ばすことさえままならなかったのだ。
 期待の左腕を万全の状態でマウンドに送ることができれば…。来春の1部復帰は一挙に現実味を帯びる。
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篠田純平(経済4=群馬・前橋商高)

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