学術ニュース  2019年08月28日 16:07

■文理 キャンベル氏が講演 話題の『陽水訳詞集』語る

文理学部の人文科学研究所主催の公開講演会が、7月18日に同学部本館のセンターホールで開催され、日本文学研究の第一人者であるロバート・キャンベル氏(国文学研究資料館長・62歳)が講演した。本学関係者やキャンベル氏のファンら、多数が詰めかけた。

約1時間の講演で、キャンベル氏は著書『井上陽水英訳詞集』(講談社)の執筆体験を基に、日本語を英語へと翻訳する苦労と喜びを語った。講演後のクロストークでは、同氏と20年近い交流がある本学の田中ゆかり教授(日本語学)と共に登壇、さらに踏み込んだ執筆の裏話などを披露した。
 『井上陽水英訳詞集』はことし5月の刊行以来、多くのメディアで取り上げられ、書店で品切れが相次いだ話題作。
 2011年に感染性心膜炎で緊急入院したキャンベル氏が、約50日間の入院生活の中でふと思い浮かべたシンガーソングライター井上陽水さんの楽曲の歌詞を毎日一つずつ英訳したものがベースになっている。訳詞は陽水さんと直接連絡を取りながら推敲(すいこう)を重ねて完成させた。
 キャンベル氏は、こうした経緯を明かしつつ、日本語の歌詞にある曖昧な「ずらし」の表現を、英語に訳す際の課題について、陽水さんとのやりとりを紹介しながら解説した。
 クロストークでは、キャンベル氏と田中教授が陽水さんのヒット曲の一つ『飾りじゃないのよ涙は』の歌詞「赤いスカーフがゆれる」をめぐって、それぞれの解釈を披露した。
 田中教授は、1970年代の漫画やアニメに登場する正義の主人公の象徴と捉え、気取った男性を表現していると解釈したのに対し、キャンベル氏は陽水さんの他の歌詞を引いて、恋人に会いに行く女性の揺れ動く心の表現とした。
 講演会終了後のサイン会には『井上陽水英訳詞集』を手にした参加者の長い列ができ、キャンベル氏は本の見返しへ丁寧にサインを書き、一人一人と握手を交わした。

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田中教授(左)とキャンベル氏
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サイン会で参加者と握手を交わす
 
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