学術ニュース  2018年11月06日 20:20

■工 浅野研究員らに国交大臣賞 住民の目で橋梁点検

 工学部のコンクリート工学研究室(岩城一郎教授)に所属する浅野和香奈・研究員(インフラメンテナンス工学)が工学部4年生のときから福島県平田村などと協力して進めてきた、地域住民による橋梁(きょうりょう)の維持管理への取り組みがこのほど、国土交通省などが主催する「第2回インフラメンテナンス大賞」の「メンテナンスを支える活動部門」で国土交通大臣賞を受賞した。同賞は、全国的な課題となっているインフラの維持管理に関する優れた取り組みを表彰する場として昨年設けられた。

 受賞研究は「みんなで守ろう。『橋のセルフメンテナンスふくしまモデル』の構築と実践」。専門知識がない地域住民でも橋梁の日常点検ができるようにし、インフラの維持管理を地域で行えることを目指し2015年に始めた。
 14年に国土交通省が策定した道路橋定期点検要領では、5年に1回の専門家による近接目視点検と日常的な施設の状態把握を義務付けているが、橋を管理する各自治体にはこうした管理に割ける予算が乏しいという問題があった。
 浅野研究員らは、日常的な橋梁点検を地域住民が担えるよう、A4サイズ用紙の表面にチェック欄、裏面に損傷例の写真を配した「簡易橋梁点検シート」を考案。点検項目を排水升や舗装など6項目に絞り、それぞれ損傷や汚れの有無とその範囲を記載する仕組み。チェック項目を定めることで住民の視点が定まり効率的な点検が可能となった。親しみやすいフォントやイラストを多用するなどの工夫もこらした。
 さらに、平田村の道路愛護作業に点検シートを活用してもらい、住民の意見をもとに改良を重ねた。この点検シートを専門業者が使って橋梁を点検したところ、住民の検査結果とほとんど違いがないことも分かった。
 これまでに、郡山市や平田村などの約600橋でチェックシートを使った点検が行われた。結果はインターネット上の「橋マップ」に反映させ、汚れが多い橋は暖色系、少ない橋は寒色系で表示した。平田村では当初、約半分の橋が暖色系だったが、住民が自主的に掃除するようになると、ほとんどの橋が寒色系で表示された。
 浅野研究員は「予算が少ない地方の自治体などにこの取り組みを広めたい」と話している。

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賞状を手にする浅野研究員(左から3人目)
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